日米TAG(物品貿易協定)交渉など信じるな!〈後編〉<br /> |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

日米TAG(物品貿易協定)交渉など信じるな!〈後編〉

英語正文の恐るべき真実

 

■日米は何に合意したか

 まずは前編の内容をおさらいしておきましょう。
 9月26日、日米首脳会談において、日米貿易協定をめぐる交渉の開始が合意されました。これは普通、「物品貿易協定(Trade Agreements on goods, 略称TAG)」の交渉開始を意味するものと受け取られています。

 アメリカは以前より、わが国にたいして、二国間の自由貿易協定(Free Trade Agreement, 略称FTA)を要求してきました。TAGは物品の輸出入のみをめぐる協定ですが、FTAとなると、サービスや投資なども含まれます。

 これだけを取ると、TAGの交渉合意は「日本がアメリカの要求を退けた結果のもの」のように見えるかも知れません。

 ところがどっこい。首脳会談の後で出された共同声明には、以下の二点が謳われていました。

(1)サービスを含む他の分野についても、TAGと並行して、貿易協定の交渉を始める。

(2)上記の交渉が終わったら、投資を含む他の事項についても交渉を始める。

 つまり今回の合意は、FTAに関する要求を退けたようなふりをしつつ、当の要求を受け入れるものだったのです!

 わが国政府は、自国民を(実質的に)だましてでも、アメリカへの従属、もとへ協調を貫こうとしていると言わねばなりません。

次のページ訳が違う…

KEYWORDS:

オススメ記事

佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
  • 佐藤 健志
  • 2018.09.15