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自己啓発書より「確かなもの」を。作家が突如僧侶に転身したワケ

向谷匡史氏インタビュー②

■失敗という概念はない

――軽はずみの選択で失敗はない?

 失敗という概念はないのです。つまり、明日死ぬのなら今日の失敗は明らかな失敗かもしれませんが、まだ何年も生きているのであれば、それが失敗かどうかはその時点ではわかりません。「塞翁が馬」というのと同じで、失敗なんてない。どの時点で自分の行動を評価していくかの違いだけの話です。

――確かに。そう考えると気持ちが楽になります。最近は何かとネガティブな人が増えていますから…。

 人間、二通りあって、“かくあらねばならない”とか、“こういうのが幸せだ”とか、“こういうのが楽なんだ”というものを決めて、それを具現化するような生き方をする人と、今ある現実の中で楽しいものを見つける人がいます。後者のほうがやっぱり楽じゃないですか。だから幸せというのは見つけるものではなく気づくもので、面白いということは、どこかに面白いものが転がっているのではなく、面白がることだと。ある現状の中で何をチョイスしていくか、それだけの話なので、そうすれば世の中、不幸なことなど何もないわけです。

〈第3回に続く〉

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向谷 匡史

むかいだに ただし

 1950年生まれ。広島県呉市出身。広島県立呉宮原高校、拓殖大学政経学部卒業。大学在学中からフリーライターとして活動を始め、卒業後、「週刊ポスト」専属記者となる。事件、スポーツ、芸能記事のほか、対談、人物記事をシリーズを担当する。



 その後、編集企画会社を設立。各種パンフレット、会報等の制作から雑誌の取材記事、単行本の執筆編集まで幅広く活動。

 作家に転向後、単行本の執筆のほか、「漫画ゴラク」「漫画サンデー」「週刊アクション」等で劇画原作を手がける。



 2000年11月、保護司拝命。2006年5月、浄土真宗本願寺派(西本願寺)で得度。2013年4月、同派で「教師」取得。空手道「昇空館」館長としての顔を持つ。異色の作家であり僧侶として知られる。



 執筆ジャンルは仏教から人間関係術、さらにヤクザの心理術まで多岐にわたり、人間社会を鋭くとらえた観察眼と切れ味のよい語り口に定評がある。


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