現実的な壁

そこからの一カ月は悩んだ。
プロ野球選手になりたいという気持ちと、現実にある壁。年齢のこと、コンビのこと、芸人としてまだ全然売れていないこと……という大きなものもそうだったけれど、なにより、実際にトライアウトを受けるときに出てくる、目の前にある壁が一番大きかった。

まず、トライアウトを受けるために一週間東京を離れなければいけないこと。休みを取らなきゃいけないから芸人としてコンビを組む相方、やまうっちゃんにも迷惑がかかる可能性があった。トライアウトは高松で行なわれる予定だったから、ちょっと帰ってきてまた戻る、ということができる距離ではない。

あとは、受験料に20万円かかること(実際は19万8000円)。トライアウトは一週間、球場を転々としながら、バスやホテルを受験生たちがともにして過ごす。そうした昼食代なども含めた費用が20万だった。恥ずかしい話だけど、僕にとって20万円はものすごく高かった。もちろん、それ以外に東京から高松に行く交通費もかかる。受けた後は、相当生活を切り詰めないと暮らしていけない……。そんな額だった。

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