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海外で「ジャパン・プレミアム」にお金を払う日本人の摩訶不思議

ここがヘンだよ、日本のサラリーマン④:外国の日系企業で働く、日本人駐在員サラリーマンの場合

■「ジャパン・プレミアム」にお金を出す

 

「本当に困るのが、顧客企業で私とは別の営業担当者が日本人から現地社員に代わったからと言って、私が文句を言われることが結構あるんですよ。何とかしてくれ、と私に言われても困ります。駐在員のローテーションも経費削減の為の担当者交代も、日本のサラリーマンだったら誰でも分かってるはずだと思うのですが。

 とにかく日本人としか仕事ができない、というか、日本が大好きなだけなのか。まぁ、両方だと思うのですが。面白いのが、こちらで暮らす日本人の間で妙な人気を誇る、ジャパン・プレミアム、というサービス。レストラン、美容院、引っ越しサポートから中古車売買まで、日本人による日本語対応の日本レベルのサービスの為に、かなり割高な料金のサービスが沢山あります。こういうサービスに喜んでお金を出す人は、そういう人なんだと思います」

 駐在員として海外へ来ていながらも、何故か日本のサラリーマンたちの嫌いな面から逃げられない、野村さん。駐在員としてアメリカへ来た身である以上、いつか帰国の辞令が出されるだろう。その日が来たとき、どんな思いが頭を過るのだろうか。

「正直、分からないですね。日本に帰って暮らしたい気持ちもありますが、日本でまた働くのはちょっと勘弁して欲しい、という気持ちもあります。一応、英語は普通に話せるので、帰って来いと言われたら、こちらで転職するかも知れません。まぁ、その時になってみなければ分かりませんが」

 語学力を買われて、花形であるニューヨーク支社へ駐在となりながらも、皮肉なほどに日本人サラリーマンの価値観に縛られた日々を送る、野村さん。上司に内緒で、ビザ申請手続きや転職情報を集めているかもしれない。

【第5回】
※第5回は16日(日)より公開!

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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