身長166センチのラグビー日本代表。「小ささ」との向き合い方
2019W杯でも大活躍中の田中史朗さんインタビュー
■小さいぼくは狙われる。それを逆手に。
あとは、とにかく頭を使った。めちゃくちゃ考えました。
ぼくは試合で、「小さい田中を潰そう」と狙われることが多いのですが、それを逆手にとろうと。アタック(攻撃)で、相手を限界までひきつけて、タックルを受けながら空いているスペースにパスして、他の選手を抜けさせる。自分が起点になって味方をいかすプレーを意識しています。他に考えたのは、球捌きのときの“出すフリ”作戦です。ボールを触って球出しをするフリをして、止める。そうすると、我慢しきれずに飛び出してきた相手からオフサイドをもらえる。とくに、プレッシャーがきつかった日本代表、スーパーラグビーではよく使いましたね。いまでこそ、日本の9番は結構このプレーをしていますが、ぼくがやり始めたときは、他にやっている選手はいなかった。自分の頭で考えたんです。
ディフェンスでも、考えたプレーがありました。ここでもぼくはよく狙われます。でも、ボールを片手で持って、まっすぐ当たりにきたり、明らかに気を抜いてくる。そのボールの扱いが雑になったところを狙って、ボールをとってしまう。相手は「あれっ」という感覚でしょう。このプレーは何回も成功しましたが、とくに印象深いのが2006の年大学選手権準々決勝・法政大学戦です。一番最後の時間帯で相手の8番が当たりにきたところ、ふっとボールを奪えたんです。そのボールをつないで、勝利を決定づけるトライがうまれました。