続いて、十二運星を見ていく。

「沐浴(もくよく)」

 少年の意味を持ち、十二運星の中で最も読みづらい星。自由な生活を好み、浮気性。何をしでかすかわからない不安定性がある。しかし、だからこその魅力があり、センスがよい。ロマンチストで芸術家としても活躍できる。

 1898年、従道の後を継いだ、当時の海軍大臣・山本権兵衛は戦艦「三笠」を購入すべきだと考えていたが、予算がなかった。そのことについて相談を受けた従道は、「別の予算を流用しよう。責任を問われたら二人で腹を切ろう」と言ったという。予算を流用する等もちろんとんでもないことなのだが、そんな突拍子もない提案ができる辺り、人とは違う発想力と思い切りを持っていたのだろう。この「三笠」こそが、その後日露戦争で日本を勝利に導いた。

「帝旺(ていおう)」

 王様の星。王様のように、カリスマ性があり、接待的な存在。統率力がある。しかし、王様のように、頑固でわがままな面を持つ。

「冠帯(かんたい)」

 女王様の星。女王様のように社交的で人の上に立てるような存在。お洒落で独立精神が強い。

 これら、「帝旺」(王様の星)、「冠帯」(女王様の星)は、「建禄」(王子様の星)と並んで「身強(みきょう)の星」と呼ばれ、エネルギーが強くビジネス等で成功しやすいという特徴を持つ。この星を2つ以上持っていると、さらなるエネルギーが発揮されるが、このように強烈なパワーを持つ人はほとんどいない。これまで鑑定した幕末の志士には一人もおらず、戦国武将では、織田信長、毛利元就、細川藤孝に見られた。従道は、たった一代で戦国大名に上り詰めたこれらの人物に匹敵するほどの強いエネルギーを持つ人物だったことが予想される。

 1872(明治2)年、博文館が明治12傑を募集した際、政治家には博文、軍人には従道が当選した。この特集を行った雑誌「太陽」で、当時の文豪・鳥谷部春汀が従道を龍にたとえ、「西郷のように不思議な人物にはこれまで会ったことがない。一般的に智のあるものは智を顕し、勇のあるものは勇を顕し、野心のあるものは功名を争う。しかし、西郷はこれらのどれでもなく、何の表現も作為もなく、まさに龍のようだ」と評している。これこそ、身強の星の賜物だろうか。

西郷邸の和館や洋館があった場所は近接の菅刈公園。

 従道は、何度も内閣総理大臣に推薦されるも、「兄が逆賊だから民衆が納得せん」と断り続けたという。兄・隆盛をずっと心に留めていたということもあろうが、兄同様、私欲のない人物だったのだろう。従道は、死期が近づくと、辞世に「世の中に思うことなし夕立の光り輝く露と消えなん」を詠んだ。「世の中に思うことがない」と言い切れるその潔さに、従道の器の大きさを感じる。大河ドラマ「西郷どん」では、錦戸亮が従道役を演じている。西南戦争に向かい、大好きな兄とどう向き合い、どう折り合いを付けていくのか…今考えても切なくなるが、最後まで応援し続けようと思う。

 

西郷従道/国立国会図書館蔵
■四柱推命とは?
 古代中国で生まれた「過去、現在、未来」を予見する運命学のひとつで、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)をもとに、人が生まれながらにして持っている性格、能力、素質を理解し、その人の努力や経験で変わる後天的な運命までも予測することができる。
 具体的には、生まれた日(生まれた年・月・日・時間)をもとに命式表(めいしきひょう)を作成し占っていく。なお、ここでは生まれた時間は鑑定に含めていない。
「国史大辞典」に記載されている生年月日を、「和洋暦換算事典」を用いて現行暦に換算し鑑定している。

【参考文献】

「大西郷兄弟」横山健堂 宮越太陽堂書房(1944)
「超ビジュアル!幕末・維新人物大事典」矢部和紀 西東社(2016)
「西郷従道は日露戦争勝利の殊勲賞? 偉大な兄・隆盛に劣らぬその器量」歴史街道編
WEB歴史街道 https://shuchi.php.co.jp/rekishikaido/detail/4110