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メールも電話もない時代。遊女はどうやって“営業”したのか?

吉原の舞台裏を覗く 第17回

江戸時代に遊郭が設置され繁栄した吉原。その舞台裏を覗きつつ、遊女の実像や当時の大衆文化に迫る連載。

■「遊女城下町」吉原

 現代、企業城下町という言い方がある。

 自動車工場などの大企業があると、その下請け企業、さらに孫請け企業が成り立つ。

 また、それら多くの従業員を相手にして、各種の飲食業やサービス業が成り立つ。

 大企業を頂点にして、まるで城下町のように直接・間接に多種多様な商売が成り立っているわけである。

 江戸時代は大企業こそなかったが、まさに遊女城下町と呼べる状況があった。

 この状況は各地の遊里でいえたが、やはり吉原がもっとも顕著である。

 俗に「遊女三千」といい、時代によって差はあるものの、吉原にはおよそ三千人の遊女がいた。

 いっぽう、吉原の定住人口は約一万人だった。

 およそ七千人の人口は、三千人の遊女のおかげで生活していたのである。まさに、遊女城下町だった。

 この七千人には、妓楼に直接雇われた若い者や下女などがいる。そのほか、直接妓楼に雇用されているわけではないが、遊女のおかげで仕事が生じている多数の商人や職人、芸人などがいた。いわば関連業者といおうか。

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永井 義男

ながい よしお

小説家、江戸文化評論家。1997年『算学奇人伝』で開高健賞受賞。時代小説のほか、江戸文化に関する評論も数多い。著書に『江戸の糞尿学』(作品社)、図説吉原事典(朝日新聞出版)、江戸の性語辞典(朝日新聞出版)など。


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