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3度目の宣言下において試される「オンライン授業」やICT端末の活用

第75回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

オンライン授業
子どもたち、そして教員にとっても「オンライン授業」の最適化は喫緊の課題だ

 教育のデジタル化を促進すべく、この春、多くの子どもたちへ配られたタブレットなどのICT端末。さっそくこれらを活用しなければならない事態となったが、果たして新しい教育様式は問題なく機能するのだろうか。いち早く方針を発表した大阪市の対応から、顕在化しつつある教育現場の課題を考察したい。


■「オンライン授業」ベースの教育がはじまる

 新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の感染拡大は収束するどころか、陽性者の数は日に日に増加する状況が続いている。そうした中、4月23日に政府は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に、3回目となる緊急事態宣言を発出した。
 ゴールデンウィーク期間の人出を極力減らすために、大型商業施設や酒類を提供する飲食店などには休業を要請することになるという。これにより、企業の負担や自粛によるストレスはさらに大きくなっていくだろう。そして、教育現場においても様々な混乱を招く可能性が高まっている。

 大阪市は既に22日に、緊急事態宣言発出を前提にした小中学校での対応策を通知している。オンライン授業と対面指導を組み合わせる、少し複雑な対策である。
 小学校については、「1、2時限目は家庭にて学習者用端末でのICTを活用した学習やプリント学習等を行う」となっている。そして3時限目には登校して健康状態の確認を行い、4時限目は学校での指導を受ける。それから給食をとって、5、6時限目は再び帰宅してICTを活用した学習やプリント学習を行う。
 給食が目的の登校のような印象もある。これは、中学でも同じだ。
 1~4時限目は、小学校と同じ家庭でICTを活用した学習やプリント学習を行う。そして給食準備時間前までに登校し、給食のあとの5、6時間目は学校で指導を受ける。

 大阪市の松井一郎市長は、「基本はオンラインだが、どうしても自宅で過ごせない家庭については学校を開けて見守る」と19日に語っていた。登校は一部の子どもたちに限るとしていたのだが、すべての子どもを対象に部分登校させることにしたことになる。
 オンライン授業だけになると、子どもたちは昼食を家庭でとらなければならなくなる。そうなれば、「誰が準備するのか」という問題が出てくる。保護者に仕事を休ませないために、給食の提供を続けることにしたのだろうか。
 そのために、複雑な登校形態になってしまったようだ。そこから生じる問題は、学校と教員が引き受けざるをえない。保護者への配慮はあるが教員への配慮はない、ともいえるだろう。

 保護者が出勤している家庭の子どもたちは、オンライン授業を受けてから登校することになるが、はたして支障なく登校できるのだろうか。保護者に急き立てられて登校していた子だと、なかなか時間どおりに家を出るのは難しいかもしれない。
 そうした子への対応も、教員の仕事になるだろう。オンラインで登校を呼びかけるのか、遅刻している子がいたら、オンラインか電話で連絡したりするのだろうか。いずれにしても、これまでになかった新たな仕事となる。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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