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優秀な「後任」を育ててこそ一流のリーダー

AI時代のリーダーの原則⑦

■ミッション形成力~使命感を持て! とは? 

 次に使命感の関わりから「ミッション形成力」についてです。

 使命感を持って業務にあたるように、とある会社の社長が訓示をしていました。聞いている社員たちはメモしたり、頷いたりしていました。

 しかし、私はいぶかしげに見ていました。

 聞いている社員の表情から「使命感を持つ」ということをこの中の何人が理解して、実行に移すのだろうと疑問だったからです。

 ある会社から、研修講師である私に社長がリクエストをしてくれました。

「当社の連中は使命感が全くない、ぜひ鍛えてほしい」ということでした。

 これも的はずれだと思いました。責任感は他者から与えられるものではないからです。

 使命感とよく似た言葉で、責任感という言葉があります。この違いをリーダーは知らなければなりません。

 責任感は持つもの、使命感はつくるものです。

 全く違う意識なのです。

 責任感は、自分の行動や行為に対して責を負う覚悟のことです。

 例えば、自分が任せられた仕事で大きなミスを犯してしまった、と、しましう。
 確実に自分自身の100パーセント、ミスではないにしても、お詫びして時には償いを受けることが責任感のある行動と言えるでしょう。

 リーダーになれば、メンバーの行動にも責任を持たなければならず、マネジメントの範囲が広がれば広がるほど責任の範囲は広くなります。

 ですからリーダーに責任感は必要なのですが、これからは使命感もそれ以上に必要になってきます。

 なぜなら、責任は与えられるものであることに対して、これからは責任範囲を超えて自分自身で道を切り開いて大きな目標を達成させるリーダーが望まれる時代だからです。

 使命感は、自ら使命(ミッション)をつくり出し、それを達成させる強い意志です。

 誰からも与えられるものではなく、必要とされていることを分析し、そして何が求められているかを明確にすることで使命感は生まれます。
そうすることで、自分自身の行動に価値を見出すことができ、偉業を成し遂げることができます。何を目指しているのか明確で、行動にもブレがありません。

 私の研修で、先日いろんな企業からエリートが送り込まれました。

 ある受講生は「忙しいけど上司から行けと言われた」と話し、ある受講生は「会社から大金をかけてもらっているので、しっかりと勉強したい」と話していました。

 しかし、ある目の輝いた受講生はこう話しました。

「私は研修で学んだことを持ち帰り社内に広げたい」

 この違いが判るでしょうか。1人目は義務感、2人目は責任感、3人目が使命感なのです。

 これからの時代は、与えられる目標の多くはAIなどのマシンで代替可能です。だからこそ、自分自身で目標を作れるのが真のリーダーと言えるのです。

次のページ研磨力~リーダーになれば2倍研磨せよ

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鳥原 隆志

とりはら たかし

株式会社インバスケット研究所 代表取締役。

1972年生まれ。大学卒業後、大手スーパーのダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導員(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に従事する。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、研究・トレーニングを開始。その経験を活かして株式会社インバスケット研究所を設立。企業のリーダー研修などのためのインバスケット教材開発と導入をサポートする。日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活動中。大企業の管理職研修など、1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた。著書は『究極の判断力を身につけるインバスケット思考』(WAVE出版)など、40タイトル、累計50万部以上。



株式会社インバスケット研究所公式ホームページ

http://www.inbasket.co.jp/


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