チューハイを選ぶ若者。「ビールにしとけよ」怒るオジサン |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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チューハイを選ぶ若者。「ビールにしとけよ」怒るオジサン

30年間で「嗜好品」はこんなに変わった〈前編〉

■21世紀に登場した、チューハイの大ヒット「氷結」

 90年代後半から盛り上がったのがワイン。特に赤ワインに多く含まれるポリフェノールの健康効果が盛んにメディアで喧伝され、ワインブームを牽引した。1998年にピークを迎えた後、ワイン市場は縮小したものの、2009年から上昇に転じ、以降現在に至るまで拡大傾向が続いている。

いま若者の心をつかんでいるのは「氷結」だ。キリッとした飲み味が特徴 
(画像:編集部資料)

 また、チューハイ、ハイボールブームも見逃せないトピックだ。このブームをリードしたのがキリンの「氷結」。若者や女性をターゲットにしたマーケティングが功を奏し、2001年の登場時から大ヒットを記録、これまでの累計集荷数は100億本を超える。また、サントリーは小雪を起用したCMで大々的にハイボールを売り出し、ブームを作り出した。それまで減少し続けていたウイスキーの販売数量も2009年にプラスに転じ、2015年にはどん底だった2008年の約2倍まで成長している。

 この30年、お酒は飲みやすさを追求して変化してきた。大人の証として苦いお酒を無理して飲む、または先輩から渋いお酒の味を教わるという文化なくなり、若者は口当たりの優しいお酒を好む傾向にある。苦味こそうまさと言われてきたビールでさえ、最近はすっきりとした飲み味の発泡酒や第3のビールに人気が集まる。チューハイやハイボールの流行もそんなお酒のライト化の一旦だ。チューハイやハイボール、第3のビールに使われるリキュールとスピリッツの販売数量は、1989年にはそれぞれ89,000kl、35,000klだったが、2015年にはそれぞれ2,034,000kl、353,000klと急成長を達成した(国税庁の発表資料による)。

 大人へなるための通過儀礼として機能していたお酒は、この30年で気軽に飲むものへと変貌を遂げた。ますます強くなる個人主義の流れが、風習にとらわれず飲みたいものを飲むという新しいお酒の嗜み方を形作っている。

後編は「コーヒー」の30年を探る。

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