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宇野常寛「足りない刺激を映画やドラマ、アニメで埋めていた」大学生活

宇野常寛さん3月毎日更新 Q4. 「どんな大学生活を送っていましたか?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

正直なところ、高校時代のほうが面白かった

 

 典型的な「ダメな地方の私立文系学生」の生活ですね。一番時間使ったのは「三國志VII」というゲームですね。あと、下宿先は「ケーブルテレビが引かれている」という理由で決めたほどなので、部屋にこもって昔のアニメや映画、ドラマを見まくっていました。その頃の一番の関心事はもっぱらエアチェック。当時はVHSだからテープを入れ替えないといけないので、どうすればスムーズにエアチェックできるかよく考えていましたね。

 うちの下宿がたまたまちょうどいい場所にあって、友達のたまり場みたいになっていました。充実したキャンパスというより、ホモソーシャルと言ったほうが正しいでしょうが、楽しくやっていました。イメージとしては、男子校の寮生活を少し薄めたような大学生活です。

 

 とはいえ、どこか刺激が足りないと思ってもいました。大学は圧倒的に自由度が高かった反面、高校時代のほうがおもしろかった。高校時代は寮生活なので何かと不自由ではあるんです。外界から遮断されているような閉鎖空間でしたから。それに、食事も不味い。本当に信じられないくらい不味いんですよ。一応栄養士もいて、4~5品は出ていましたけど、人が口に入れてもかろうじて精神に異常を来さないものが1品あるかどうかくらい。なんとか必死にご飯をかきこむんですけど、基本的にみんな痩せているんです。これ、戦後直後じゃなくて、90年代の日本の話ですからね。結局大量に残飯が出てしまって、寮に住みついている猫だけがダルマみたいに太る。そんな恐ろしい光景が広がっていました。それに、プライドの高い田舎の男の優等生ばかり集まり、閉鎖空間に集められているので、人間関係はムダに複雑になる。正直、嫌な部分も多かったですけど、その分濃くて楽しかったんですよ。

 反対に大学は自由度が高いですし、人間関係にストレスもない。でも、高校時代に比べると刺激が足りない。その足りない刺激を、昔の映画やドラマ、アニメを見ることで埋めていった感じですね。時間もあったので、見たいものを見ていましたし、読みたい本もすぐに手に入りました。要領はいい方なので、大学は4年間で普通に卒業できました。

〈明日の質問は…… Q5.「会社勤めをしているときに感じたことは?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26