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安倍政権の問題は「右」でも「左」でもなく「下」である。

「副島隆彦×適菜収」異色対談第2回

■大衆ではなく「勘の鋭い人たち」に発信せよ

副島 今度、共謀罪が生まれたでしょう。暴力団の親分が子分に、「今日は天気が悪いな」と言っただけで「あいつを殺してこい」という命令だとして、殺人の実行犯ではない親分まで捕まえるのが共謀罪です。アメリカ政府の命令で、ドイツ刑法とアメリカ刑法を無理やり接合しようとしてこういうおかしなことになる。こうした学識がわかる勘の鋭い人たちが、数万人はいる。大衆ではなくて、この人たちに発信しなければならない。適菜さんも手紙が来るでしょう。勘の鋭い人たちから。

適菜 そうですね。たまにすごい長文の手紙をもらったりします。巻物の手紙をもらったり。誰か忘れましたが、有名な作家でした。それとベストセラーズの編集担当者に聞いた話ですが、おじいさんが私が書いた『安倍でもわかる政治思想入門』を片手に持って、会社の入り口に来て編集担当者に会わせろと。特に危なくなさそうだったので、警備員が編集担当者を呼ぶと、「この本を買って読んだが、私がうっすら考えていたことと同じですばらしい」と。でも、よく見たら、そのおじいさんが手にしていた本は図書館で借りた本だったと。買えよ。

副島 そういう人たちを含めて日本で一番頭のいい人だと思わないといけませんよ。私よりもそのおじいさんは頭がいいと思います。私はこれまで30年ぐらいの間に、1万5000通くらい読者からの手紙の返事を書き続けた人間です。もの書きを始めた30歳からずっとです。はがき、封書の時代から、ファックスの時代になって、その後、ネットの時代になったらメールで返事を書きます。私は自分の本のお客さんを、そうやって自分の世界につなぎ止めて大事にしてきた。そうやって日本全国に自分の読者を確保してきました。そのうちの、勘の鋭い読書人たちを自分の味方につけて、ずっと思想闘争をやってきました。これは戦いなんです。

適菜 大変ですね。

副島 ニーチェが孤立しながら戦っていたのと同じ。彼の本は、生前はたくさん売れたわけはないけど、やっぱりこいつはすごい、と言い出した人たちがドイツ語圏のヨーロッパ人の知識層の中から出て来て、どんどん認められていった。彼が死んだ1900年のあとは、もう何十万人、何百万人に読者が増えた。しかし、今でもローマ教会は世界的に怖い存在です。ローマン・カトリックは恐ろしいですよ。正義と愛と善意を、人類に押し付けて回っていますから。ヨーロッパが近代になってからの500年のしがらみがすごい。ヨーロッパが世界を支配してたったの500年だ。100年前からは、サイエンスや人権や、デモクラシーを振りかざして、これらは人類の普遍の原理だ、と言い張って、世界中で蔓延っている。人類は今も複雑骨折をしている。これをどう解くか。それにかかっているわけです。私たちが教育という名で受けた洗脳を解く努力だ。これこそが適菜さんがニーチェ本でやり遂げた大変な功績ですよ。こういう仕事をもっと続けてほしい。

適菜 はい。古典はきちんと勉強しなければいけないと思っています。近代人の感覚だと、古典の再利用とか、焼き直しとか、そういう発想になってしまいますが、伝統的な古典観で言えば、古典は汲みつくすことのない泉のようなもので、何度も手を加えて、紹介し直す必要があると。

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  • 適菜 収
  • 2018.02.24