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睡眠時間は「7時間」がちょうどいい説

【睡眠負債】を枝川義邦氏が徹底解説3/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。 〈今回は「睡眠負債」全3回。3/3〉 

■なぜスマホは睡眠に悪影響なのか?

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トオル 結局「睡眠負債」をなくすには、十分かつ適切な睡眠を取ることが重要なんだね。

シズカ でもね、早く寝ろって言うけど、ついつい私夜スマホいじって寝るのが遅くなっちゃうの。

トオル それわかる! せっかく仕事が早く終わっても、家でスマホでユーチューブ見たらあっという間に真夜中になっちゃうし。

枝川(義邦:早稲田大学研究戦略センター) よく言われる事ですが、寝る前のスマホは睡眠にとって大敵です。ふたつマイナス面があって、1つは内容によっては神経が高ぶってしまうこと。たとえばネットニュースなどで面白い記事を見つけてしまうと、興味がそちらに向いてしまいますよね。同様にメールやSNSのやりとりも神経を興奮させてしまいます。

 もう1つがブルーライトの悪影響です。前にも触れましたが、人間の脳や体には「サーカディアンリズム」があって1日約24時間でリズムを刻んでいますから、夜になる「メラトニン」というホルモンが出て人間は眠くなるように出来ています。しかしそのメラトニンは明るいところでは充分に出てきません。スマホは目を近づけますから至近距離でブルーライトに接してしまいます。そのブルーライトが目に入ったという情報が脳でメラトニンを分泌する場所に届くと、メラトニンが出なくなってしまいます。そうすると眠気が薄れてしまったり、眠りが浅くなったりしてしまうのです。

シズカ 私の場合は会社のメールをスマホで見れるようにしているから、寝る前についついチェックしちゃうんですよね。

枝川 現代社会では、完全にスマホを断ち切るのは難しいと思います。なるべく寝る前は距離をとりたいものですが、現実的な策としてブルーライトをカットする「ブルーライトフィルター」などのアイテムに頼ることもできます。貼り付けるタイプのものもありますし、アプリでも使えますからぜひ試してみてください。

シズカ スマホって便利だけど、私たちの健康がそのせいで侵されているかもしれないと考えると複雑だわ。便利な社会だけどね。

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枝川 義邦

えだがわ よしくに

早稲田大学研究戦略センター教授。東京大学大学院を修了して薬学の博士号、早稲田大学ビジネススクールを修了してMBAを取得。早稲田大学スーパーテクノロジーオフィサー(STO)の初代認定を受ける。脳の仕組みや働き、人間の行動などについての執筆や講演なども多い。2015年度早稲田大学ティーチングアワード総長賞、2017年度ユーキャン新語・流行語大賞を受賞。一般向けの著書に『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』(明日香出版社)、『記憶のスイッチ、はいってますか』(技術評論社)、『「覚えられる」が習慣になる!記憶力ドリル』(総合法令出版)など。


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