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シェフ必見!《美食バカ一代》料理人の諸君、調査員を恐れることなかれ!【ミシュラン完全制覇への道】

タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の十五皿目


世界中の料理人の垂涎の的であり、最も彼らが恐れている存在、それが「ミシュラン調査員の来訪」である。しかし「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者である藤山氏は、恐れるべきでは無く、むしろ料理人がキャリアを大きく飛躍できるチャンスであると語る。いかにしてミシュランから派遣された「舌に厳しい客」を見分けるのか? その極意を余すことなく紹介する。


■覆面の刺客を見分ける方法とは?

調査員は自分の素性が分からないように潜入する

『東京版』、『京都・大阪版』をはじめとする日本の『ミシュランガイド』ブックの星の基準は、やや信頼性に欠けるとはっきり断言していいだろう。

 会社のお金で、世界の三ツ星レストランに数回訪れた程度の調査員に、藤山が愛してやまないレストランを「これは、うまい」とか「うまくない」とか、評価されたらたまらない。

 もちろん、パリの三ツ星に匹敵する、いや、それ以上のフランス料理店が日本にあることも知っているから、日本に三ツ星レストランが存在しないとは言っていない。ただ、どの程度の美食家のレベルの方が、レストランの星の数を判断しているのか、それを知りたいだけなのだ。

 東京で、ある一流フランス料理店の支配人に、「ミシュラン調査員の見分け方」を聞いたことがある。それによると、こうだ。

① はじめての客である

② なんだか、そわそわしている

③ メニューのめくり方がおかしい

④ ふたりが同じものを頼まない。ひとりがコースなら、もうひとりはアラカルト(単品)

⑤ スマホを取り出し、いちいち何かを調べている

⑥ 食べ終わると、スマホに何やら打ち込んでいる

⑦ 自分宛ての領収書を必ずもらう

⑧ それ以来、二度と来ない。来る時は「写真を撮りたい」と言う

 これも、なんだかなあ。

 畏(おそ)れ多くも、1900年のパリ万博の時に創刊された、あの『ミシュランガイド』の調査員としては、どうだろうか。

人間の味覚は千差万別、十人十色

『ミシュランガイド』の調査員を16年間勤めたパスカル・レミという方が書いた暴露本『裏ミシュラン──ヴェールを?がされた美食の権威』(吉田良子・訳/バジリコ刊)にはこう書かれている。

「ナレはすべてを変えた。三ツ星にしか興味を持たず、調査員を素人ばかりにした」と。

 まさに、ミシュラン調査員のナレの果てだ。

(次回へ続く)

KEYWORDS:

星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用)

三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理
ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる
お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン

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藤山 純二郎

ふじやま じゅんじろう

東京出身。幼稚舎、普通部、高校、大学と慶應義塾で学ぶ。
祖父は日本商工会議所会頭や初代日本航空会長も務め、岸信介内閣の外相で大活躍した藤山愛一郎。純二郎は普通のサラリーマン。
料理評論家の山本益博の薫陶を受け、
89年から『ミシュランガイド』(ミシュラン社)を片手に現在まで28年間、
世界の三ツ星レストランを食べ歩き、全119店中、114店を制覇(2018年9月現在)。現在も、会社に長期休暇をとっては、三ツ星の美食を「胃袋に」収める。
執筆は、91年『東京ポケット・グルメ〈1992-93年版〉』(文藝春秋)、
95年から『東京食べる地図』(昭文社)、『ダイブル−−−−山本益博の東京横浜近郊たべあるき』(昭文社)を95年版から01年版まで記者として参加。

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