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『最後の晩餐』で一人だけ“ぼっち席”なのはなぜ?【美術鑑賞のツボ/前編】

美術館賞を楽しむための5つのツボ①

◆女神から生身の女性へ、西洋の裸婦画をくらべる

「絵は1点だけを見ていても、表現されている意図や魅力は伝わりづらいもの。似た作品を多く見くらべると、いろいろな発見があります」と佐藤さん。例えば西洋画に多い横たわる裸婦の絵だが、その元祖とされるのは、ヴェネツィア派の画家ジョルジョーネの『眠れるヴィーナス』だ。

「描かれているのは生身の女性ではなく、神話に登場するヴィーナスです。当時はまだ、生身の女性のヌードを描くことはタブー視されていました」。

 一方で、同時代の画家のティツィアーノは、神話の女神を描きながらも目を開き、鑑賞者を見つめるヴィーナスを描き、現実の女性が持つリアルなエロティシズムを表現。さらに19世紀に入ると、マネが『オランピア』で高級娼婦を

描いた。このように似た作品を見くらべることで、画家の意図や時代背景も伝わり、鑑賞眼も肥えていくのだ。

 また佐藤さんは難解な現代美術の鑑賞にも、様々な作品に触れた経験が役に立つと話す。

「古典的な作品が作り上げた枠を越えてオリジナルを生み出すのが現代美術。『あの時代のあの作品を意識しているのでは』と考えることができれば理解も深まります」。

写真を拡大 『眠れるヴィーナス』 ジョルジョーネ 1510~1511年頃/油彩・カンヴァス /ドレスデン国立絵画館蔵

写真を拡大 『ウルビーノのヴィーナス』 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 1538年頃/油彩・カンヴァス/ウフィツィ美術館蔵

写真を拡大 3『オランピア』 エドゥアール・マネ 1863年/油彩・カンヴァス/ オルセー美術館蔵

雑誌『一個人』2018年3月号より構成〉 

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佐藤 晃子

愛知県出身。明治学院大学文学部芸術学科卒業、学習院大学大学院人文科学研究科博士課程前期課程修了。西洋や日本の美術をわかりやすく紹介する著書の執筆を手がけるライターとして活躍。美術に関する講演も多数。


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