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沖縄の月桃農場で出会う、薬草の魅力。【植物採集家の七日間】

「世界のどこかに咲く植物を、あなたの隣に。」連載第2回


ここではないどこかに行きたい。自分ではない誰かになりたい。

憧れや夢という非現実を見ることは、不思議と現実を強く生きる力を与えてくれるものです。

旅で出会った植物と人間の叡智をお届けします。

【植物採集家の七日間】第2回は、南国で育つ「月桃」の生態、沖縄の生活に根付いていた食や住まい、美への活用について探究する「沖縄の旅」です。


 

 

2回 沖縄の月桃農場で出会う、薬草の魅力。

– Look, Listen, and feel with your heart. –

 

 

■月桃農場に行きたい

 

「ゲットウを見に行きたい?月桃?…ああ、ムーチーの葉っぱだね。」今回の植物採集旅を共にするトッティはカメラをいじりながら応えた。沖縄の言葉は独特のリズムが心地よい。

 月桃は沖縄に群生するショウガ科の植物だ。現地の人からは「サンニン」と呼ばれ、万能薬草として古くから愛用されている。近年は国産ハーブが再注目され、ハーバリストから最も人気のある品種の一つだ。

 けれども、世界を巡る若き映像クリエイターのトッティには、時折おばぁから貰うお菓子「ムーチー」に巻いてある葉っぱという存在のようである。この会話がまさに月桃が沖縄の生活に根付いていることを証明している。本当に人々の暮らしに根付いているものは、名前なんてあってないようなものなのだ。

 現在ますます注目を帯びている予防医学。私のフィールドにある「植物療法」はドイツやイギリスなどヨーロッパの学問が有名で、2020年にはドイツに1ヶ月ほど植物採集を行う予定だった。新型コロナウイルスの影響ですっかり引きこもり、諦め半分で始めた日本の薬草。興味深く、すっかりハマってしまった。

 東西に長い日本の地形では自生できる植物の種類が幅広く、予想以上に国土が大きいことに気がつく。毎月のように通っていた沖縄と北海道では別世界の景色が広がる。どちらも植物の楽園だ。植物を学ぶ上で地理的要素の理解は必須であり、植物を活かすにはその地に住む人の文化を知らなくてはならない。

 せっかくのおこもり期間は「本の虫になり、国内の植物採集をしよう。」そう決意して、沖縄と静岡へ植物採集に出かけた。海外から戻ってきたばかりの青年トッティがそばにいるからか、異国を旅しているような不思議な七日間だった。

 

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古長谷 莉花

こながや りか

 1986年静岡生まれ、植物採集家。幼少期よりガーデニング好きの母の影響で生け花・フラワーアレンジメントなどを通し、植物と触れ合って育つ。様々な視点で植物を捉え、企業やクリエイターと植物の可能性を広げる試みを行う。訪れたい場所(株)代表取締役社長。
The Apoke 植物採集 https://the-apoke.com/

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