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スランプにどう対応するか。井口資仁が確認していた「背中」

井口資仁監督に聞く。Q29.スランプを感じるときどう取り組み改善しますか?

■構え方がバロメーター

 僕がこだわっていたのは、打席でのバットの構え方です。これは他の選手にも共通する現象かもしれませんが、シーズンが進み、体に疲れが溜まってくると、自分では気づかないうちに猫背になってしまうことがよくありました。打席でも、つい前かがみ気味に構えてしまうんです。そうすると、体の軸がぶれてしまい、スイングするときに上手く回転できなくなってしまうことがあります。

 猫背になってしまっているかどうかは、自分ではなかなか気づけません。そこで、普段から打撃コーチに、「ベンチのこの角度から打席を見て、もし背番号が見えるようだったら教えてください」とお願いして、本来の構え方が崩れないように注意をしていました。ビデオで確認することのひとつでもありましたね。

 心技体という言葉があるように、長いシーズンを戦い抜く上で、精神面の充実、技術の研鑽・修正、体調管理は重要な要素です。その3つがそろわなければ、満足な成績は残せません。

 プロ野球選手であれば誰しも、ヒットが出ない試合が続けば悔しいし、ホームランを打って試合に勝てれば嬉しいです。それでも結果に対して一喜一憂しないように努めるのは、心の部分が安定していれば、残りの技と体の2つに集中できるから。具体的に言えば、たとえば不調の状態が続いたとき、その原因がメンタル面ではなく、フィジカルやそれに伴うテクニックにあると絞り込みやすいからです。不調の原因がわかれば、修正もしやすくなりますからね。

 精神的にブレないためにも、日々同じことを繰り返す。それが現役時代の僕の不調の脱し方でした。


明日の質問は…「Q30.同世代(35‐45歳)についてどう感じていますか」です。


 

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井口 資仁

いぐち ただひと

1974年12月4日生まれ。東京都田無市(現:西東京市)出身。千葉ロッテマリーンズ監督。97年逆指名で福岡ダイエーホークス(現:ソフトバンクホークス)に入団。走攻守三拍子揃った選手としてレギュラーとして活躍する。2005年にはシカゴホワイトソックスに入団。ワールドチャンピオンに二度輝く。その後、09年に千葉ロッテで日本復帰。昨年現役引退を発表。


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