《美食バカ一代》高価で美味いものがタダで食える調査員にジェラシー【ミシュラン完全制覇への道】
タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の十四皿目
■真実は自腹を切らなきゃ分からない!
さて、研修が終わり、いよいよ。調査員たちの仕事がスタートしたとしよう。
調査員は、さっそく、ふたりひと組でレストランに向かう。ホテル担当者はホテルに泊まる。これはさすがの藤山も正確なことを言えないが、レストランは、1週間くらい月曜の昼食から金曜の夕食まで週10軒、ひと月に約40軒訪れると思われる。
ということは、たとえばレストラン担当者が20人いたとすれば、ふたりひと組だからひと月で400軒、1年で4800軒回るということになる。
彼らがそれぞれ報告書を書き、最終的に全員集まっての会議が行われ、それによって、一ツ星、二ツ星、三ツ星が決まるのではないかと思われる。
なぜ、そう思われるかと言えば、「誰が決めるのでもない。合議制だ」というのが、唯一、公表されている『ミシュランガイド』からのメッセージだからである。
「合議制? レストランの格付けをするのに?」
もちろん、藤山はこんな説明にあまり納得しない。
たとえば、『ミシュランガイド』の編集部に、レストランを担当する調査員が10人いて、全員が同じ店の同じ料理を食べて、それで合議するなら構わない。そして、8人以上が「うまい」と言ったら三ツ星、5人から7人は二ツ星、ふたりから4人は一ツ星というのなら、藤山、納得。文句はひと言も言わない。
だが、それぞれの店に、ふたりの調査員だけが勝手に行って、「ここは三ツ星、ここは二ツ星」はないだろう。
しかも、調査員の彼らは、フランスの「ピエール・ガニェール」に行ったか、ベルギーの「ホフ・ヴァン・クレーブ」で食べたか、オランダの「デ・リブライエ」のコース料理を堪能したか。
みんな、世界の三ツ星レストランだ。世界の三ツ星を食べ尽くしてもいないで、「ここは三ツ星」と決める度胸をほめてあげたい。
特に、僕は『日本版』の調査員にお尋ねしたい。
世界の三ツ星レストランを制覇していない者が、なんで「この店は三ツ星だ」と決められるのだ。
合議制? 自分の舌に自信を持ってほしい。「これは間違いなく三ツ星だ」とひとりで大きな声で言えないのか。そして、やはり世界の三ツ星のレストランで、それほど食べてもいない人たちと、何を合議するのだろうか。
だったら、藤山に評価させれば? 自分のお金で世界の三ツ星を食べてきたんだから、自分ひとりで決められるのでは?
いや、言い過ぎた。
(次回へ続く)
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KEYWORDS:
星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用) 三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理 二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理 一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理 ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン