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《美食バカ一代》高価で美味いものがタダで食える調査員にジェラシー【ミシュラン完全制覇への道】

タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の十四皿目


「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者である藤山氏は、とある疑問点を投げだした。『ミシュランガイド』の星の数は一体、誰が決めているのか? そして数多くのレストランの中から、本当に美味しい店を探りぬき、辛辣な評決を行なう者は、いかにして舌をトレーニングしているのか? 多くの人が聞けなくても聞けなかった疑問点がいま、白日のもとへ明らかになる?


■この世でもっとも役得なお仕事

美味しいものを食べる仕事は文字通り「美味しい」のか?

 では新人調査員として採用された者は、どんな訓練を受けるのか。

 当然、研修を受ける。藤山が極秘に調べたところによると、期間は約半年くらい。先輩の調査員といっしょに、あらゆる店に行き、さまざまな料理を味わいながら、その感想をレポートにまとめ、舌を訓練する。

 まあ、これで給料がもらえるなら、いい仕事だ。ただ、毎日、フランス料理ばかりだと、さすがの藤山もギブアップするかもしれない。

 また、講義では、料理だけでない部分、サービス度や快適度、席数のチェック、室内に男女別々のトイレの有無など、調査項目の審査法を学ぶ。

 この約6か月の訓練によって、適性が試され、調査員に向かないと判断された者は、別の部署、販売部や広告部、総務部、経理部などに回される。

『ミシュランガイド』は、出版社と同じだから、ガイドブック内の広告収入(『2017北海道特別版』にはJALやJCB、『ぐるなび』などの広告も載っている)も大事な要素になる。

「星は決して売らないが、ページは喜んで売る」

 これが、『ミシュランガイド』の方針のようだ。広告が入れば入るほど、制作費が助かるからだ。この頃、たしかに、本家の『フランス版』にも広告が入るようになった。『2017フランス版』には、BMWサン・ぺルグリノなどの広告が掲載されている。

 日本の雑誌や新聞に、これまでなら載っていなかったような、ちょっと怪しい企業広告が入るようになったり、自社広告が入ったら、出版社や新聞社の経営が危ぶまれるのと同じ理屈だ。

次のページ真実は自腹を切らなきゃ分からない!

KEYWORDS:

星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用)

三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理
ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる
お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン

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藤山 純二郎

ふじやま じゅんじろう

東京出身。幼稚舎、普通部、高校、大学と慶應義塾で学ぶ。
祖父は日本商工会議所会頭や初代日本航空会長も務め、岸信介内閣の外相で大活躍した藤山愛一郎。純二郎は普通のサラリーマン。
料理評論家の山本益博の薫陶を受け、
89年から『ミシュランガイド』(ミシュラン社)を片手に現在まで28年間、
世界の三ツ星レストランを食べ歩き、全119店中、114店を制覇(2018年9月現在)。現在も、会社に長期休暇をとっては、三ツ星の美食を「胃袋に」収める。
執筆は、91年『東京ポケット・グルメ〈1992-93年版〉』(文藝春秋)、
95年から『東京食べる地図』(昭文社)、『ダイブル−−−−山本益博の東京横浜近郊たべあるき』(昭文社)を95年版から01年版まで記者として参加。

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  • 藤山純二郎
  • 2017.09.27