上原浩治に聞く Q.2 キンブレル獲得をどう感じましたか? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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上原浩治に聞く Q.2 キンブレル獲得をどう感じましたか?

クローザーからセットアッパーへ。配置転換に思うこと

実績があっても危機感がある

――その危機感とは何でしょうか。客観的に見れば実績もあり、監督から電話がくるほどチームからも信頼されている。

実績というのは終わったことなんでね。同じようなことはよく言われるんですけど、実績に浸っている人間は間違いなく伸びない。だから僕自身は過去の実績というものは捨てて、毎年、毎日やっているつもりです。

実績というのは、僕で言えば現役の野球を引退してから、「あの時はよかったな」ぐらいのものでいいんじゃないかなと思っています。現役である以上は、まだ「あの時」というような振り返り方をしたくないんです。

――そういった潔さというか、強さが上原さんの原動力である気がします。ただ我々ふくめふつうの人はなかなか実績を捨てて考える、取り組むということはできない。

そうですね。実績をきちんと築けていればいるほど、そうかもしれません。例えば「甲子園に出ました」という実績では「そうなんだ」くらいのリアクションしか得られないかもしれないですけど、「決勝までいってすごい試合をして……」と言うと、「ああ、あのときの!」となるわけですから。

僕の所属しているマネジメント会社の人間で、甲子園で準優勝している人間がいるんですけど、彼の場合はもう野球を引退しているわけですから、それはもう自慢でも、アピールにでもなんでも使っていいと思う。それこそが実績ですから。

振り返えること自体は悪いことだとは思わないんです。繰り返しになりますが、でもそれは終わってからすべきこと。現役である以上は、日本であれアメリカであれ積み上げた実績をどうこう言いたくない。

実績というのは、ひとつ区切りがついて、違うところからものを見るようになってはじめて語れるものなんじゃないかと思いますね。

――そういう意味で実績に関係なく、危機感をもって臨むと。

はい。今年もチームに何が起こるか分かりませんから。ストッパーを奪い返すくらいの気持ちでいますよ。

明日の第三回の質問は「Q3・ずばり日本復帰の選択肢はありますか?」です!

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上原 浩治

うえはら こうじ

1975年4月3日生まれ。東海大仰星高校時代は、外野手兼控え投手。1年の浪人後、大阪体育大学に入学し、当時敵なしといわれたキューバ打線を封じ込めるなど投手として注目を集める。1998年にドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目から20勝4敗の好成績を残し、新人王と沢村賞をはじめ最多勝・最優秀防御率・最多奪三振・最高勝率などタイトルを総なめにする。以降、怪我などもありながらジャイアンツのエースとして活躍。2009年に海外FA権を行使しボルチモア・オリオールズに入団。さまざまなポジションを渡り歩きながら着実に実績を重ね、2013年にはテキサス・レンジャーズからボストン・レッドソックスに移籍。シーズン途中からクローザーとなり、リーグチャンピオンシリーズMVPを獲得するなどワールドシリーズチャンピオンに貢献した。現在もボストン・レッドソックスに欠かせない投手として活躍する。



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