●15歳以降のニーズに合った制度や社会資源がない?

 児童福祉の中心的な相談機関は、児童相談所です。名前はよく知られていますが、実務はあまり知られていません。「通報すると子どもが連れ去られる機関」というイメージを持っている方も多いかもしれません。

 児童相談所は、児童や保護者からの相談を受ける機関です。虐待予防のために保護者への援助をしたり、児童に対して援助・指導をしたりします。虐待を受けた児童を保護することもあれば、保護した児童を施設に入所させたり、里親につないだり、特別養子縁組を勧めたり・・・といった仕事をするのが児童相談所の基本的業務です。

 ですが、法律上はそうした建付けになっていても、児童相談所が現実にそれら全ての業務をこなすのは難しく、実際上は、児童の保護や虐待対応がメインとなっていて、虐待に至る手前の子育て支援に関する業務は、市町村と役割分担していることが多いです。

 児童相談所は、法律上は18歳未満の子どものあらゆる相談に対応することになっています。児童福祉法上の「児童」とは18歳未満を指すのですが、例外的に22歳までの自立支援の相談もできるように法改正が行われました。そうなると思春期から青年期までの子どもの支援もすべて児童相談所が担っているのかというと残念ながら現実にはなかなかそうなってはいないのです。

 児童福祉の領域では、15歳以上の子どもが利用可能な公的制度や社会資源が極端に不足しています。と言うのも児童福祉は、元々「親が亡くなった孤児をどう養育していくか」というところからスタートしました。そこから児童虐待への社会的関心が広がって、「親はいるけれども保護、支援が必要な子ども」への関わりの比重が増えていきました。昔は、制度上は18歳まで相談に乗ることになってはいるけれど、実際上、義務教育が終了した位の子どもに児童相談所が積極的に保護や相談で関わるケースはそう多くはありませんでした。それが最近では児童相談所として18歳まで保護・支援を継続しなければいけないというケースも増えています。更には、法改正を受けて成人後も視野に入れた支援が推奨されるようになってきました。

 しかし、制度の外枠ばかりが広がっていくだけで、実際の15歳以降の子どものニーズに合った具体的制度や社会資源は圧倒的に不足していて、支援する側の支援技術の蓄積も十分ではなく、地域格差も激しいのが実情です。

次のページ 15歳以上の子どもの問題になってくると