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足りないのは「時間」ではなく「知恵」だ

何も考えず一生懸命頑張ってもしょうがない トヨタ式で早く帰る②

足りないのは時間ではなく知恵や工夫

 成果をあげるためにはがんばることも必要ですが、がんばり方を間違えると成果にはつながりません。トヨタ式に「時間は動作の影である」という言い方があります。アスリートがより速く走るためには、時計だけを見て、「もっと速く走れ」と叱咤激励するのではなく、フォームのムダを省き、必要な筋肉を鍛えるといった地道な改善こそが求められます。改善すべきは動作であり、動作を改善すれば時間も自ずと改善されるのです。

 同様に私たちの仕事も「もっとがんばろう」ではなく、仕事の仕組みを徹底的に分析して、そこにあるムダを省くことで初めて「時短」や「ノー残業」が可能になるのです。たとえば、報告書を作成しようと必要な書類を探したところなかなか見つからず、「探す」ために5分、10分という時間を「ムダ」にしていないでしょうか。あるいは、誰も読まない資料づくりに「ムダ」な時間を費やしてはいないでしょうか。

 長時間の残業が当たり前になっている人は一度、「なぜこんなに残業をしているのか?」という理由を書き出してみてはいかがでしょうか。あるいは、就業時間のうち「仕事に集中できる時間」がどれだけあるのかを振り返ってみてはいかがでしょうか。ある調査によると1日のうちせいぜい4時間足らずとも言われていますから、それでは成果もあがらないし、日々残業するのも仕方のないことです。

「時間が足りない」からと安易に残業をするのではなく、「何に時間がとられているのか」を分析し、「時間を奪うムダや非生産的な要素を改善する」ことが何より大切です。さらには「仕事ができる人」の時間の使い方をよく見て「真似る」ことも大切です。与えられた時間は仕事ができる人もできない人も同じですが、その時間をどれだけ上手に使うかには大きな違いがあります。「時間が足りない」人は自分の時間の使い方をしっかりと分析してみることです。「足りないのは時間ではなく知恵や工夫」なのかもしれません。

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桑原 晃弥

くわばら てるや

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ生産方式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)などの制作を主導した。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP文庫)、『ウォーレン・バフェット成功の名語録』(PHPビジネス新書)、『伝説の7大投資家』(角川新書)、『トヨタのPDCA+F』(大和出版)など。バフェット関連書籍多数。


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  • 2017.12.22