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日本人は「ロヒンギャ」を自分事にできるか

【ロヒンギャ】を根本敬氏が徹底解説3/3

難民問題は決して他人事ではない

都内で声を上げるロヒンギャの人々
写真:AP/アフロ

根本実は多くの難民が日本にもいて、ロヒンギャ難民も住んでいるんですよ。決して「ロヒンギャ」は私たちにとって他人事ではありません。ロヒンギャの中でも商売や貿易をしていた人は金銭的な余裕があったので様々な工夫を凝らし、国外に出ています。ロヒンギャはミャンマーの近隣諸国以外に移り住むケースも多いのです。例えば、政府の関係者に賄賂を渡して別の民族名称で国籍を買い、ヤンゴンから一度バンコクに行き、第三国に行く道を模索する。

トオル…彼らはどんな国にいくんですか?

根本…バングラデシュの首都ダッカに行く人もいればサウジアラビアやリビア、この辺りはイスラムの人たちが多いですね。イギリスやカナダ、アメリカやオーストラリアに行った難民も少なくありません。実際難民キャンプからの第三国定住でオーストラリアに行ったロヒンギャは1000人くらいいます。日本には自力で来た人が200人くらいいて、一部は難民認定を受け、主に群馬県の館林市に住んでいますよ。

トオル…群馬県にいるんだ、全く知らなかった!

シズカ…数は多くないけど、ここ日本にも確かにロヒンギャの人がいるのね。

根本ロヒンギャにかぎらず日本に移り住む難民の方は多くいます。ですから、こういったニュースをきっかけにして、難民問題にも関心を持ってほしいですね。そのきっかけがロヒンギャでもいいと思います。民族の名乗りの権利、宗教や肌の色の違い等で国から追い出すという排他的なナショナリズムの問題性、そういったところに話が繋がり、考えるきっかけになると良いと思いますね。

トオル…自分事として、明日からニュースもしっかり追っていこう。

シズカ…私も。根本先生、今日はありがとうございました!

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根本 敬

ねもと けい

1957年(昭和32年)生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授などを経て、上智大学外国語学部教授。専攻、ビルマ近現代史。


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