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今さら聞けない「ロヒンギャ」差別の原因

【ロヒンギャ】を根本敬氏が徹底解説1/3

なぜ「差別」されるのか

シズカ…そこでなんで「差別」が生まれてしまったのかしら。

トオル…確かに。少数民族だって他にもいそうなのに。

根本…特にロヒンギャが差別的な扱いを受けるようになったのは、ロヒンギャが保守的なイスラーム教徒であることが挙げられるでしょう。ミャンマーでは仏教徒が9割近くを占めています。そしてキリスト教徒やヒンドゥー教徒も少数派として存在するなか、仏教徒の多くはイスラーム教徒のことを特に嫌っています。これにはイスラーム教徒の出生率が高く、ミャンマーを乗っ取るのではないかという恐怖心を彼らが抱いているかただといえます。実際はそのようなことはないのですが。

シズカ…宗教的な対立も背景としてあるのね。

根本…決してそれだけが理由ではありません。現にミャンマーにはロヒンギャ以外にもイスラーム教徒が暮らしていますから。他の理由をあげるとすれば、顔つきや肌の色、言語が違うといった民族差別的な要因があります。

 そして、ロヒンギャが差別される最後にして最大の理由が、「“不法”移民」と思われていること。ミャンマー国民からすると、「勝手にミャンマーへ入ってきて、民族名を自分たちでつけ、さも昔からいたような顔をしている」ことになる。国民感情がこれを許さないというわけです。

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根本 敬

ねもと けい

1957年(昭和32年)生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授などを経て、上智大学外国語学部教授。専攻、ビルマ近現代史。


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