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今さら聞けない「ロヒンギャ」差別の原因

【ロヒンギャ】を根本敬氏が徹底解説1/3

ロヒンギャの起源は15世紀から

シズカ…むむ、難しいわね。それでロヒンギャの人たちは何人くらいいるんでしょう?

根本100万から110万と言われています。ロヒンギャと名乗る人たちの起源は15世紀まで遡ります。今、ロヒンギャが多く住むラカイン地方に存在していた王国(アラカン王国)の中に一定数居住していました。19世紀のイギリス植民地時代にも移民がありましたし、第二次世界大戦直後の混乱期や1971年の印パ戦争期にも移民がありました。

「ロヒンギャ」を名乗るようになったのは1950年頃からです。当時、ミャンマー政府も彼らの存在を公認していましたが、1962年に軍が政権を主導するようになり、状況は悪化。差別的な扱いをされるようになります。

 そして、1982年には今の国籍法が施行され、ロヒンギャがミャンマー固有の民族であることが公式に否定されたのです。アウンサンスーチーさんが率いるいまの政権も、憲法上の制約などがあって、ミャンマー国籍を持つ「土着民族」だけから成る国を維持強化しようとする軍の強い意向に逆らえない状況にあります。ちなみに「土着民族」とされる民族は135ありますが、ロヒンギャはその中に入っていません。

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根本 敬

ねもと けい

1957年(昭和32年)生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授などを経て、上智大学外国語学部教授。専攻、ビルマ近現代史。


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