夫が連れ込んだ芸者にお土産を渡す、偉人の妻の強靭なメンタル
激動の時代を生きた志士、その妻と恋人②
周囲の反対をおしきって伊藤はすみ子と離婚。置屋から身請けした梅子と再婚している。しかし二人に月並みに幸せな新婚生活があったわけではない。当時の伊藤は長州藩士として職務に追われ、家を空けることが多かった。仕事で関係のある外国人男性を家でもてなすべく、突然連れてくるようなこともあった。梅子は伊藤のために英語の習得を決意する。しかしあまりに熱心に勉強したため、眼病をわずらってしまうほどだった。
初代内閣総理大臣にまでなった伊藤の出世と共に、梅子も環境の変化を柔軟に受け入れ、成長を続ける。鹿鳴館時代に国内外の貴賓を接待した経験や、裁縫技術の高さを買われ、宮中の女官のための洋風の制服づくりだけでなく、皇后のドレス製作にも協力したことがあった。
伊藤は「若い女性と遊ぶことが唯一の趣味」と後に発言するほど、女性関係がとにかく派手だ。梅子が伊藤との間に授かった子は何人かいたが、成人したのは一人である。そういう経緯もあるからか、彼女は伊藤が別の女性に生ませた子どもたちを家庭に引き取り、立派に育てた。伊藤が連れ込んだ芸者たちにも土産物を持たせたりするなど、普通の妻なら悩んでしまうような事態にもめげない、あまりにポジティブな梅子には驚かされる。その行動力の源は伊藤への強い愛だったようだ。
- 1
- 2
KEYWORDS:
オススメ記事
