Scene.43 最終章。 本屋から、ありがとう! そして、・・・・ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Scene.43 最終章。 本屋から、ありがとう! そして、・・・・

高円寺文庫センター物語㊸

ステージは再びフルバンドのロックンロールショー!

「愛しあってるかい?」と、ソウルフルに歌いあげながら右に左にと駆け抜けて行く。そして、ジャンプ!

ステージの中央に戻ってくると突然、崩れ落ちるようにうずくまった。バンドマンが駆け寄って、清志郎さんにマントをかけて抱えるようにして退場して行った。「いつものように決め」たぜ!

JB譲りのマントショウのパフォーマンスは、復活を遂げるアンコールステージでエンディングだ。

野音ライブが終わって、パチリ! みんな、どえらい仕事をやり遂げた素晴らしい笑顔をしてる。いい仕事には、いい仲間たちがいる!

「さぁみんな。帰りのお客さんに、最後の物販な!」

みんなでお揃いの決めTを着たスタッフが、いっせいに持ち場に飛んで行った。

そう! リリー・フランキーさんが、デザインをしてくれた。文庫センターの看板やブックカバーに使っていたイラストで、オリジナルTシャツを作っていた。

 

2時間半のコンサートが、終わった!

「店長。終わりましたね・・・・・」

「店長。物販は1円の間違いもなく、お店の一日分の売り上げでした!」

「みんな、お疲れさん。

さっきな、ニューバーグのママさんの顔が走馬灯のように駈け去って見えたんだ。しかも『殿、頑張ったね!』って、ママさんの声が聞こえたんだよ!」

「お腹空きましたね。ニューバーグで、ご飯食べたい気分・・・・」

「終わりばいねぇ・・・・」

「終わったのね・・・・」

「終わりですか?!」

「うん、終わった・・・・。

ありがとう、みんな。お疲れさま」

トランジスタラジオみたいに、小さな小さな本屋の物語もこれでおしまい。

 

あがった雨は、二度と降らなかった。

『雨上あがりの夜空に』が、なんて相応しい夜だったんだろう!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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