【鬼滅の日】鬼畜米英に滅亡を約束された日——1941年11月26日「ハル・ノート」はデス・ノート? ジャパンの鬼は滅びニャイ!《今日はニャンの日》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【鬼滅の日】鬼畜米英に滅亡を約束された日——1941年11月26日「ハル・ノート」はデス・ノート? ジャパンの鬼は滅びニャイ!《今日はニャンの日》

平民ジャパン「今日は何の日」:9ニャンめ


 79年前の今日は1941年11月26日(日本時間11月27日)は大日本帝国が、アメリカという「鬼」に滅亡を約束された日なのだニャン。
 日本人だってあの戦争は「無謀だ」と知っていた!!!!!
 でも、厄介なのは・・・日本の敵は「日本人」同士だということに「気づいて」いたコーデル・ハルの知略にハメられたことだったのだ。

コーデル・ハル(1871- 1955)

■そもそもハル・ノートって無茶苦茶な要求だったのか⁉︎

ドキュメント1941.12.8(アメリカ時間12月7日):【写真左】コーデル・ハル国務長官と最後の会談に臨む野村吉三郎大使と来栖三郎大使。【写真右】空母「翔鶴」から発艦する九七式艦上攻撃機(写真:パブリック・ドメイン)

 

「ハル・ノート」は高校日本史に登場するキーワードだ。

 平民ジャパンなら、おぼろげに覚えている。
 ABCD(アメリカ・イギリス・中国・オランダ)包囲網で詰められ、石油全面禁輸措置を受けた。
 ハル・ノートを突き付けられ、やむなく開戦を決意した。
 真珠湾を奇襲攻撃して太平洋戦争に突入、破竹の勢いで戦線を拡大した。
 それもつかの間、ミッドウェーで惨敗ガダルカナルで餓死硫黄島で玉砕東京大空襲で首都壊滅に至る。
 沖縄では住民が火炎放射器に焼かれ、本土では子供に穴を掘らせて敵上陸に備えた。広島・長崎と原爆2個を投下され、天皇陛下のラジオ放送で終わった。
 マッカーサー閣下が来て、戦犯が裁かれ、日本は平和になりましたとさ、めでたし。

 絶対に受け入れ難い最後通牒、ハル・ノートって何だ。

 そんなに無茶苦茶な要求だったのか。
 いや、そんなことはない。
 一見、穏やかなものだ。

 中国とインドシナに展開する軍事行動を放棄し、ヒトラーと縁を切り、国際的枠組みで地域平和を実現しよう、というだけの話だ。
「ハル4原則」(注)には、アメリカの譲歩妥協と、双務的性格を見ることができる。


(注) 【ハル四原則】 
❶すべての国の領土と主権尊重 
❷他国への内政不干渉を原則とすること 
❸通商上の機会均等を含む平等の原則を守ること
❹平和的手段によって変更される場合を除き太平洋の現状維持

 皮肉にも戦後の「日米安保条約」「日米地位協定」のような、片務的・隷属的なものではなかった。

 アメリカは当時の日本の実力(短期的戦争遂行能力)を承認していた。
 同時に、その集団的情緒不安定を恐れていた。
 日本は逆に、自らの実力(潜在的交渉力)と、相手の実力(一旦決意後の徹底的無慈悲)を見誤り続け、近視眼的な自暴自棄に向かって疾走した。

 

■必敗でも、日本が戦争をやりたくなる方へナビしたアメリカ

ドキュメント1941.12.8(アメリカ時間12月7日):炎上する真珠湾上空を飛行する九七式艦上攻撃機(写真:パブリック・ドメイン)

 

 歴史に「もしも」は無い、と人は言う。
 ハル・ノートを“突き付けられ”たから、戦争に突入した。
 悪いのはハル・ノートで、俺たちじゃない。はめられたという謀略論、かわいそうなのは我々だという被害妄想、そして、1億総ざんげの加害妄想。単純化された思い込みと、誤った記憶は祖国の神話となった。

ドキュメント1941.12.8(アメリカ時間12月7日):日本への宣戦布告書に署名しているフランクリン・ルーズベルト(写真:パブリック・ドメイン)

 

 3年8か月で310万人が死んだ。
 無条件降伏するくらいなら、ハル・ノートを飲んでやめておけば、“まだマシ”だった。

 8か月にわたる日米交渉の甲論乙駁において、引き返す機会は何度もあった。

 駄々っ子のように手前勝手な主張に徹し、ドツボにはまって自滅した。

 交渉で自爆路線を回避し、非戦で立ち回っていたら、台湾、朝鮮半島、千島列島は領土だった。対共産圏を錦の御旗に満州も樺太も当面はいけた。外地経営は困難を極め、軍部は天皇を人質にとって悪さをしただろう。

 しかし、無差別爆撃で国土が焦土と化すことはなかった。
 原爆も落とされていなかった。

 世界秩序は、いまと大きく違うものになっていた。

 なのにどうして。何年も前からやるつもりだった。
 負けると知っても、やりたくて、やりたくて、仕方がなかった。
 5年も前から特別会計で資金も貯めて、ヤルと決めていた。

 デス・ノートには自ら皇国の名前を書いていた。

次のページ説得するのは面倒だ、ならアメリカと戦争やっちゃえ!

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猫島 カツヲ

ねこじま かつを

ストリート系社会評論家。ハーバード大学大学院卒業。

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