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「定年後が不安……」家計管理に悩む人が、今のうちに確認しておくべきこと

定年後の家計の守り方①

◆定年後の家計管理は、夫婦で一緒に

 定年後の家計に関する不安を解消するには、管理の一切を妻に任せるのではなく、夫婦が一緒に将来設計をすることが大事です。
 女性は、脳の構造的に、細々したことによく気づくのですが、逆に言えば細かいところにこだわってしまう一面もある。例えば、月々の出費を10円単位で管理できる能力はあるのですが、大きな見通しを立てるのは少々苦手。そこは、男性の方が得意なんです。だからこそ夫婦で協力する必要があるのです。

 また、夫婦のどちらかに万一のことがあったときに、家計の情報を把握している必要があることからも、夫婦共同で管理を行うことをおすすめします。誰がどんな保険に入っているか、今いくつ口座を持っているのかなど、家族の中で分かっている人が複数いないと、仮に妻が一人で全てを管理していて、その妻に万が一のことがあったら、怖いですよね。
 夫や妻でなくても、子どもや兄弟に情報を共有してもらってもいいと思います。私も、自分に何かあったときのために、入っている保険などは息子にちゃんと伝えていますし、口座の数自体も管理がしやすいよう少なくしています。

◆夫婦の家計管理、最初の一歩は「シミュレーション」

 夫婦で一緒に家計管理を始めるにあたって、まずは一度、簡単なキャッシュフロー表を作ってみるといいと思います。それには、金融広報中央委員会の「知るぽると」というサイトが便利です。そこでは、住宅ローンや保険についての基礎的な知識を提供してくれているほかに、生活設計のシミュレーションを行うことができます。月々の収入など、分かる範囲で入力してみて、ぜひ家計を可視化してみてください。

 こうしたシミュレーションをしてみないと、意外と分からない支出の落とし穴もあります。たとえば、子どもの教育費です。ひと昔前であれば、両親が60歳を迎えるまでに子どもが学校を卒業しているケースの方が多かったと思うのですが、今は、子どもが二十歳になるときに親が70歳近い、という家庭も増えてきています。すると、定年後収入が急激に減ったあとも多額の教育費を支払わなければならず、無計画でいると家計は非常に苦しくなります。
 子どもが大学に入るときにお父さんが何歳か、定年のタイミングで子どもはまだ家にいるかなど、たとえ頭で分かっていたとしても、一度書いてみて、目で見ることが大事なのです。

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井戸 美枝

いど みえ

CFP®、社会保険労務士。神戸市生まれ。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金部会委員。確定拠出年金運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動し、人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。

近著に『ズボラの人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)『定年男子定年女子』(日経BP社)『身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)などがある。


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