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岐阜県美濃市【美濃和紙と長良川が育む伝統工芸】昔ながらの製法を今に伝える、美濃和紙の里を訪ねる《連載その①》

長良川に育まれた伝統工芸が時代を超えて輝きを取り戻す


 清流・長良川の流域には、古くから独自の文化が育まれてきた。
「美濃和紙」とそれを使った伝統工芸も、長良川から恩恵を受け発展してきた歴史がある。
日本のものづくりの原点として、今も人々の心を潤している。
今も連綿と昔ながらの製法を伝えている、和紙の里を訪ねてみることにした。


■美しい川の流れが人々の暮らしに寄り添う

 日本有数の清流、長良川。岐阜県北部の大日ヶ岳に源を発し、伊勢湾へと注ぐ流れは全長166㎞。吉田川や板取川と いった支流を含めた流域の人口は約86万人にもなる。

 長良川の豊かで清らかな流れは、人々の暮らしの中で利用され、 独自の文化が育まれてきた。

 伝統的な技法ですかれる美濃和紙もその一つだ。日本の原風景が残る里山で、職人たちが一枚一枚、和紙をすき続けてきた。

 美濃和紙は川の流れに沿って運ばれ、それを利用した産業も発達した。和傘、提灯(ちょうちん)、団扇(うちわ)といった工芸品は、岐阜の伝統工芸として、今も当地に息づいている。

岐阜県美濃市の中心部は、江戸時代より美濃和紙を扱う 商業の町として賑わった。屋根の両端を高くした19軒の 「うだつ」は富の象徴でもあり、往時の隆盛を偲ばせる。

1600(慶長5)年、徳川家康が関ケ原の戦いで使った美濃紙の采配(美濃和紙の里会館所蔵。模造品)

正倉院に残る戸籍用紙。当時は自国の戸籍用紙は自国で作ったとされ、御野(みの・美濃)・豊前(ぶぜん)・筑前(ちくぜん)の順で品質が良いとされた(美濃和紙の里会館所蔵。模造品)

(連載その②へ続く)

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美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です

岐阜県知事・古田肇

 美濃手すき和紙は、薄いながらも強く、美しい紙で、1300年以上の歴史があります。その最高峰である本美濃紙の製作技術は、地域に生きる人々の手で大切に受け継がれ、2014年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

 そして、来年開かれる東京オリンピック・パラリンピックでは、入賞者に贈られる全ての表彰状に美濃手すき和紙が採用され、オリンピアン・パラリンピアンの手を通じ、世界各国に渡り、伝えられていくことになります。

 まさに、美濃手すき和紙は岐阜県が世界に誇る伝統工芸であり、宝物です。

 そして、長良川流域には、今回紹介されている郡上本染や岐阜和傘の他にも関の刃物、鵜飼など先人の手で受け継がれてきた伝統が息づいており、次世代を担う若い職人が、新しい発想も取り入れながら伝統を未来へとつなげていこうと奮闘しています。

 皆さんも是非、職人の技が息づく岐阜県を体感してみませんか。

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