【仲人にだまされ老爺と結婚させられた娘「首をくくって死ぬつもり」】 | BEST T!MESコラム

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仲人にだまされ老爺と結婚させられた娘「首をくくって死ぬつもり」

江戸の性 第133回

イラスト/フォトライブラリー

江戸の性事情』(ベスト新書)が好評を博す、永井義男氏による寄稿。

 江戸時代、女の結婚年齢は低かった。極端な言い方をすれば、初潮さえすめば、もう嫁入りさせる例もあった。 

 さらに、武士や庶民を問わず結婚には必ず仲人を立てるが、結婚を成立させると謝金(手数料)をもらえるため、いい加減な仲人も多かった。とくに見合いもせず、仲人の言葉だけを信じて、事前に顔を見ることもなく結婚する男女は少なくなかったから、往々にして悲劇もおきた。

 仲人のいい加減さが招いた悲劇が『新著聞集』に出ている。

 寛文元年(1661)、八丁堀にすむ六十余歳の医師が妻を迎えたが、十六歳の娘だった。新妻は亭主が高齢なのを知って愕然とし、隣家の老婆に訴えた。

「相手がこんな年寄とは夢にもしらなかったのです。仲人にだまされました。かといって、いまさら親の元に帰るわけにはいきません。わたしは首をくくって死んでしまうつもりですが、どうやってやればよいのかわかりません。わたしが死んだら、手箱に二十両あるので、この金を差し上げますから、首のくくり方を教えてください」

 初めのうちこそ老婆は、「夫婦は縁だからね。これも結びの神の引き合わせだよ。死ぬだなんて、言うんじゃないよ」と、しきりになだめていた。しかし、二十両という金額を聞くにおよび、にわかに欲が出てきた。

 
次のページ首つりの方法を指南しようとする老婆、しかし……

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永井 義男

ながい よしお

小説家、江戸文化評論家。1997年『算学奇人伝』で開高健賞受賞。時代小説のほか、江戸文化に関する評論も数多い。著書に『江戸の糞尿学』(作品社)、図説吉原事典(朝日新聞出版)、江戸の性語辞典(朝日新聞出版)など。


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