デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか? | BEST TiMESコラム

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デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか?

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第6回:変わりゆく道路標識

◆新交通システム「ラウンドアバウト」

 新しい交通システムと、それに伴う新しい道路標識の例として、ラウンドアバウト(環状交差点)と呼ばれる形式の交差点がある。円形の道路に、数本の流入路が接続する形式の道だ。昔からあるロータリーに似ているが、ロータリーでは進入してくる車に優先権があるのに対し、ラウンドアバウトでは円形道路を走る車に優先権があり、ちょっと別物の仕組みである。最初はとまどうが、慣れてみると信号もないのにスムーズに交差点を通行でき、なかなか便利と感じる。

 このラウンドアバウトはヨーロッパで主に普及しているが、日本でも2013年から導入が始まった。

 これに伴って、新標識「環状の交差点における右回り通行」が制定された。青い円形の中に、時計回りの通行方向が強調されたデザインだ。

 ラウンドアバウトは徐々に増えつつあるが、まだ平均して県に数ヶ所程度しかないので、この標識もかなりレアな部類に入るだろう。筆者の住む茨城県では、日立市の常陸多賀駅前に、このラウンドアバウトが初めて導入されたと記憶する。

日立市のラウンドアバウト

 といっても、この日立市のラウンドアバウトは全く新規に作られたわけではなく、元は駅前ロータリーであったものを改装したものだ。このためか、ここにはロータリーの標識とラウンドアバウトの標識が共存しており、前者の下に「ロータリー内優先」の補助標識が取り付けられている。ロータリーとラウンドアバウトは別物なので、この設置の仕方はおかしいといえばおかしいのだが、新たな交通システムに皆が慣れるまでの過渡的な措置として、あえてこのような表示をしたのだろう。担当者の苦心が偲ばれる姿である。

ロータリー標識とラウンドアバウト標識の共存
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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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