【デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか?】 | BEST T!MESコラム

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デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか?

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第6回:変わりゆく道路標識

ドライバーを除いては、ほとんどの人が意識をすることがないであろう「道路標識」。だが日本全国には、知られざる奇妙珍妙な道路標識があった! マニアでなくともニヤニヤせずにはいられない、奥深い世界をご堪能あれ。

◆道路の新アイテムを見逃すな!

 どのジャンルであれ、コレクターやファンが一番盛り上がるのは、新しいアイテムが登場する時だろう。iPhoneの新機種が出ればショップに行列ができるし、鉄道の新車両デビューの日には、一番乗りを求めて駅に人が押し寄せる。そして道路標識ファンが最もテンションを上げるのは、新たな標識が登場する時ということになる。

 道路標識に新顔などそうそう現れるのかと思うが、実はちょいちょい新たなアイテムが現場に投入されている。車も道路もどんどん進化し、変わっているのだから、それに合わせて交通ルールも変わっており、そのたびに新たな道路標識が生まれているわけだ。

◆消えゆく「40高中」

 しかし生まれるものがあれば、当然消えていくものもある。たとえば、かつては「40高中」という、オレンジ色のペイントや補助標識が、道路のそこここにあった。これはかつて、自動車に高速車・中速車・低速車の区分があった時代のものだ。昔のトラックなどには、普通の乗用車に比べてスピードの出ないものが多かったため、こうしたカテゴリー分けがなされていた。「40高中」という表示は、高速・中速車の制限速度が時速40キロであることを示す。

 しかし、エンジンの性能アップなどによってこうした区分は意味がなくなってゆき、1992年ついにこの制度は撤廃となった。このため「40高中」の表示も廃止となり、道路整備のたびにどんどん消えていっている。しかし法改正から四半世紀を過ぎた今でも、旧道などに「40高中」はまだ生き残っており、これらを求めてファンが撮影に訪れたりしている。そんなものを撮って何が面白いのかと言われそうだが、長きにわたった役目を果たし終え、ただ静かに風化してゆく姿は、どこか不思議な魅力をたたえているのである。

消えかけた「40高中」のペイント

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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