ギャングはいきなり胸ぐらをつかんできた。でも「同世代」がキッカケに

ーー現地のギャングに出会う……怖いという思いはなかったんですか?

 もちろん怖いですよ(笑)。最初はもう死ぬんじゃないかって。初めに出会ったギャングは「レッド・アイ」というニックネームで、目が真っ赤に充血しているギャングで、「おれの目を直せ!」と僕の胸ぐらをつかんできた。後ろでは何人かのギャングがニヤニヤと笑っている。でも僕の後ろにも後輩が何人かいたので、そこでビビっていたら示しがつきません。「おれは医者じゃねえ!」とか怒鳴り返してました(笑)。

 だから最初はムカついたし、いい経験じゃなかったんです。ただそこから「同世代」ということをキッカケにして、徐々に話せるようになっていきました。

 というのは、彼らは国を失い、親を殺され、難民認定もされずに、政府からは排除されようとしている、強い不満感情を持った人間たちです。

「国連? 政府? あいつらは何もやってくれないだろ? じゃあ誰がこの社会を変えるんだ? おれたちユース(若者世代)だろ?」
「僕たちは社会を変えたいから、君たちの力を貸して欲しい」

 という話しをしてやると、彼らも僕たちを認めてくれる。常に「ギャング」というレッテルを貼られて排除されてきた彼らにとっては、受け入れてもらえる、必要とされることは初めての経験だから嬉しい。ここからソマリア人ギャングの社会復帰を支援する「Movement with Gangsters」というプロジェクトが発展していきました。

 きっと僕たちが若者ではなかったら、そもそもギャングとの「対話」は生まれていなかったと思います。知識も経験もない、英語もしゃべれない、むしろそのおかげでギャングと一緒に物事を考えていくという共通基盤を作ることができたんです。 

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