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難関大学合格へ導く教師が、生徒にかけている言葉

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第7回

◆「うまくいかない」のは失敗ではない

 彼女たちの一生の賭けにおいて「うまくいった」ほうが良くて「うまくいかない」ほうが失敗だなどとは考えていない。勝とうが負けようが、そこから新しい道を歩みはじめればいい。大学の上下のランクのわずかな差など、虚栄心の問題でしかない。

 私が興味があったのは、生徒がどのようにして自己の進路や生き方を切り開いていくかであった。ただ希望を後退させることは認めなかった。全力を尽くすべきだと思っているからである。

 部活をよくやってきた生徒が廊下ですれちがったとき、「センセー、もう疲れちゃった。C大の推薦に出そうかな」とぼやいた。私は直ただちに「あなたがダメだったらK女は全滅です」といった。その子はうれしそうな恥ずかしそうな顔をして離れていった。結果としてW大の法学部に合格した。

 こういう激励はしたが、「もっとがんばんなくっちゃあ」などという類のことはいわない。やるかやらないかはその子の決断による。その面を大事にするところが、ほかの教師たちとかなり違うところではなかろうか。ほかの担任たちは生徒のためになる指導をしていると思っている。私は自分が納得できる指導をしている。必ずしも生徒のためだなどと考えていない。

 だいたい、どうやったら、どう指導したら生徒のためになるのかよくわからない。私は自分の確信する教師の道を生きようと思っているのであって、生徒のためにがんばろうとしているのではない。

『教育改革の9割が間違い』より構成>

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諏訪 哲二

すわ てつじ

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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