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私たちは知らず知らずのうちに“母性コスプレ”を強いられている。

産まないことは「逃げ」ですか⑥

母性コスプレ

 しかし、母性ってなんだろう。優しくて温かくて穏やかでやわらかくて、みたいなものなのか。じゃあ、逆の父性ってなんだろう。強くて頼りがいがあってどっしり構えて、みたいなものか。まあ、これは私の勝手なイメージで綴っただけであって、そんなものはなくてもいいし、どうでもいい。母性が感じられなくても父性が存在しなくても、まっとうに子育てしている人はたくさんいるから。

 たぶん、私たちは常にこのイメージに適合するよう、外れないよう、無意識のうちに母性コスプレを強要されているのだ。そこに違和感や息苦しさを覚えていても、理想の母性像を演じている。

 もうね、常に女優なのよ。顔はぶたないで。

 もっと言うと、いまだに性別の役割に縛られている人も多い。男は「稼ぎと男気」、女は「家事能力と癒し力」。いやいや。競争が苦手で金を稼ぐことに重きをおきたくない男もたくさんいるし、致命的に家事ができない女もたくさんいる。得手不得手があるのだから、得意なほうがやればいいだけなのに、みんな「こうあるべき」に近づこうと頑張ってしまう。疲れるよね。男も女も。

 イメージプレイはそろそろやめて、適性を活かした役割分担にしたほうがいい。最近、洗濯洗剤や台所洗剤のテレビCMは男性芸能人が出演することが断然多くなった。CMの世界では実に多くの男が家事をしている。実際は、女が使うものだから女を釣るために男を起用しているのだろうけれど、意識は変わりつつあると思いたい。

『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/



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  • 吉田 潮
  • 2017.08.26