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【宮崎「地名」ケンミン性】神話と歴史の豊かな地名。神武天皇の宮居が由来の県《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_宮崎県

■神話や伝承にちなむ名前も

椎葉村で11月に開催される「椎葉平家まつり」。平家の末裔・鶴富姫と源氏の武将・那須大八郎の逢瀬が再現される。提供/宮崎県観光協会

《宮崎県の由来》神武天皇の宮居が由来に

 昔、この地には、のちに神武天皇となった神日本磐余彦天皇(かむやまといわれびこのすめらみこと)「宮居(みやい)」があったと伝えられ、宮の「あたり」「所在地」という意味合いで呼ばれた「宮前(みやさき)」が、「宮崎」になったと考えられる。
 「宮」があった場所については奈古(なご)、江田、 皇宮屋(こぐや)「神武さま」の愛称で親しまれる宮崎神宮など諸説ある。
 また、10世紀初頭につくられた『和名類聚抄』に「宮崎郡」の地名が登場。現在の宮崎地方では、古くから「ミヤザキ」と呼ばれていたようである。


《地名の由来》

◉生目(いきめ)景清の両眼が落ちた場所

 生目神社をルーツとする地名。その由来は、壇ノ浦の戦いに敗れて捕らえられた藤原(平)景清が、仇である源氏の繁栄を見たくないと、自らの両眼をえぐって空に放り投げたところ、この場所に落ちたとされる。

◉飫肥(おび)火にちなんだ謎の地名

 『和名類聚抄』に「飫肥郷」の名がみえる。古くは「小肥」と書かれ、江戸後期に記された『太宰管内志』には「火に負はせるにあらぬか、さもあらば大火の意あり」とある。詳細は不明だが「火」にちなむ地名と推測される。

◉椎葉(しいば)平家の落人伝説に関連

 伝説によれば、平家の落人追討のために当地を訪れた那須宗久は、必死に生きる落人たちの姿に感動し、ここでともに暮らしたとされる。地名については、宗久が陣小屋を「椎の葉」で囲ったことからつけられたとされる。

◉高千穂(たかちほ)天孫降臨の有力候補地

鹿児島の霧島とともに天孫降臨の地の候補。天界から遣わされたニニギノミコトが地上に降り立ったとき、辺りは暗闇だったが、手に持った稲の「千穂(数多くの穂)」から籾(もみ)をとって四方にまいたところ、日と月が輝き始めたことにちなんで「高千穂」と名づけられた。

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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