Q7 それでは反対に、日本よりイギリスの方が良いと思う側面はなんですか?

井形 それはぜひ本を読んでいただきたいですね(笑)。

簡単に言うと、イギリスにはまず、きれいな庭があり、きれいな街並みが残り、自然が街のいたるところにある。そういった環境や、古いものを大事にしていく意識がとても強いということ。

それから、イギリスの政治家はスピーディーで、ここぞというときに素早い手を打ちます。政策的に「これは正しい」と思ったら、結果的にそれが間違っていたとしても、即行動に移します。物事をあいまいにしておかないという点は、やはりイギリスの良い面だと思います。私たち日本人が苦手としている部分ですね。

 

Q8 実際に住む前とあとで、一番イギリスに対するイメージのギャップがあった部分は?

井形 イメージのギャップはなかったのですが、実際に住んでみると、非常に「自立心」を求める社会だと感じました。本書でも書きましたが、イギリスは「自己責任」をともなう国なんです。決して人のせいにはできません。

以前、日本人がロンドンのある地区で襲われたことがあったのですが、「襲われたんだって」という話だけで終わってしまう。日本であればもっとヒステリックな騒動になるような事件だったのですが、2人に1人以上が外国人といわれるロンドンなどイギリスでは「そういうところには絶対行かない。仮に行くとしたら、注意して行くのが当然」となる。自分で自分を守り、自立していくセンスというのが非常に求められる社会なのです。

対して日本は、自立心がなくてもそこそこ生きていけると思います。守られているというか、ほんわかしています。そのゆるさは、ある意味日本の良さでもありますね。

 

Q9 最後に、読者の方にひとことお願いします。

井形 日本を素晴らしいと褒める本はたくさんありますが、この本の特徴は、日本に住んだ、あるいは訪れたイギリス人がなぜ日本の虜になっていくのか、そのからくりを解き明かしているところです。

外国(日本)に住むということは、彼らの子どもの「国籍」の問題にも関わる重大事です。英語圏で暮らす彼らにとって、日本は言葉の壁も大きく、文化、習慣の違いも多々あります。それでもあえて、「日本でくらすこと」を選ぶイギリス人がいます。その背景に、私たちが気づかない「日本の素晴らしさ」があるのです。

私も取材しながら新しい発見がたくさんありました。そして改めて、「日本に骨をうずめたいな」と思いました。日本という国は、私たち日本人が思っている以上に、「居心地がいい社会」です。

イギリスで、「人間は生まれつき不平等にできている」と聞かされました。貧民・教育格差・人権などさまざまな面で痛切にかんじます。ところが日本人には、「人間は平等であるべき」という考えが根底にあるのではないでしょうか。その平等の精神が、競争原理を貶めているとも言われますが、逆に言えば、心安らぐ社会の源とも言えます。そして、日本のような平等で平和な社会がいかに特殊であるかということを、日本人はあまりわかっていないように思います。

「和食・漫画・ハイテク」、それだけが日本のすごさではありません。母国に帰らず、一生日本に住み続けたいとイギリス人に思われるほど、日本は愛されている国なのです。そこまで彼らを魅了しているものが生ずる源。それをぜひ、本書を読んで確かめていただきたいと思います。