洗礼を受け、確信を得た私は将棋にも迷わなくなった

 そういった背景がありましたから、人生における答えを強く求め、教会の門を叩くことになったのです。そして、1970年12月25日に下井草カトリック教会で洗礼を受けました。

 かくして、私はキリスト教徒となりました。洗礼を受け、確信を得た私は将棋にも迷わなくなりましたね。これまで感じていた迷いが吹っ切れたのです。神が直接私に語りかけることはないけれど、「誠心誠意、一生懸命考えて指せばいい」という結論を得ることができました。

 将棋の対局中にも神の思し召しがありました。1982年、42歳のとき。中原誠名人との名人戦です。この戦いは、95%私が負けていましたが、中原名人が見逃すはずはない簡単な手を見逃したのです。

 それによって私は勝つことができました。紙一重の状況で念願の名人位を獲得できたのです。普通なら中原名人が見逃すわけがないですから、だからこそ神のお恵みなんですね。

 座右の銘である「勇気を持って戦え」「相手の面前で弱気を出してはいけない」「あわてないで落ち着いて戦え」も旧約聖書の言葉ですし、対局の前日の夜には、聖書を読んでお祈りをしています。対局の合間に教会へ行ってミサにあずかることもありましたね。