「受けの達人」だった大山名人には変化球ではなく直球を

 大山名人は、いろいろな指し方をしてくる対戦相手には特に強かったんです。つまり、大山名人は「受けの達人」。升田名人も二上九段も大山先生とたびたび戦いましたが、結局大山先生の受けのほうが先回りして成功していました。反対に、何が何でも「棒銀一本」でいったほうがもっと大山先生を苦しめたと思うんですよ。

 野球でたとえれば棒銀戦法は直球ですよ。大山名人と升田名人、二上九段は、なまじカーブやスライダーを駆使したところでしょうか。二人とも、一局一局工夫をして戦いましたが、実はそれが裏目に出た。すべて直球、いや豪速球で攻めたほうが良かったのではないか、というのが私の考察です。

 作戦というものがいくつかありますが、色々な作戦を大山先生にぶつけたものだから大山先生に対しては結果的になかなか勝てなかった。いろいろな作戦というものは、よく言えばレパートリーが広い。しかし、別の見方からすると、はっきり言いまして「得意戦法がない」ということにもなるんですよ。

 棒銀戦法がすべてとは言いませんよ。そうは言いませんが、私の経験上、勝負事では得意技や一つの型を持っておくことは非常に重要だと思いますね。

明日の第七回の質問は「加藤一二三九段の目には藤井聡太さんはどう写りますか?」です。