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林先生だけじゃない! いつかTVで見たい個性派予備校講師

予備校は生き残れるか③

●テレビには出ない個性的な講師たち

 駿台予備学校の講師・大島保彦(英語)は、スーパーの衣料品売り場で売られているようなシャツに、ベストを着ていることが多い。一見、さえないおじさんのように見える。

 しかし、大島の講義は多くの受験生を引きつける。多くの語学を勉強し、その該博な知識をもとにした講義は、受験生の英語の理解に大きく貢献している。大島の講義は、雑談ばかりのように思える。テキストも、終わらない。しかし、一年間ついていけば、確実に英語の力はつく。

 大島は、大学院でドイツ哲学を専攻し、大学で非常勤講師を行っていたこともある。知的バックボーンを背景に、単なる無駄話ではなく、受験生をひきつけ、学力向上に貢献している。

 この人はテレビには出せないだろう、という講師もいる。駿台予備学校の福井紳一(日本史)だ。日本史や世界史の多くの講師は、整った板書を売りにしている。しかし福井は、めったに板書をしない。講義で話したことを、テキストに書き込ませるようにしている。

 髪の毛は白髪の長髪。語られることは左翼的な思想をもとにしており、聞く人によってはアジ演説のように聞こえるかもしれない。

 福井は一般向けの著作も出している。『今起きていることの本当の意味がわかる 戦後日本史』(講談社+α文庫)は、福井の駿台予備学校の講習会『戦後日本史』をもとにしたものだ。戦後とは、どんな時代だったのか。あの戦争に対する反省というものは、いかにして消えたのか。そういったことを、熱く語る。私生活では、脱原発のデモなどにも参加する。

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小林 拓矢

こばやし たくや

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)、共著に首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(ともにSB新書)など。


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