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【新潟「地名」ケンミン性】新しい潟のことで「ニイカタ」《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_新潟県


 日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。
 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️


■海と自然にちなむ地名の宝庫

木曽御岳信仰の霊山「八海山」。新潟を代表する日本酒の銘柄でも知られる。提供/新潟観光協会

《新潟県の由来》新しい潟のことで「ニイカタ」

 新潟平野に注ぐ信濃川阿賀野川が、上流から土砂を運び、河口に「新しい潟」を形成したことが地名の発生した由来と考えられる。永正17(1520)年史料『越後過去名簿』には「新方」という地名が登場し、永禄11(1568)年上杉輝虎(のちの謙信)の手紙の中には「新潟」の地名が見られる。
    いずれの史料にも蒲原(かばはら)、沼垂(ぬったり)といった古い湊町が出てくることから、「新」とつくのは、それらに比べて新しいという意味と推察される。


《地名の由来》

◉糸魚川(いといかわ):糸魚川という川はない

 トゲウオ科の淡水魚である「いとよ」のことを「糸魚(いとうお)」ともいうが、この魚がいたことに由来するとの説。もうひとつは古代、渡来人の「糸井造(いといのみやつこ)」がこの地に来たことに由来する。

◉親不知(おやしらず):北陸道最大の難所

 波打ち際を駆け抜ける際に親は子を顧みる余裕がないほどの難所だったことに由来。
 また平清盛の弟、頼盛の夫人がここを通りかかった際、愛児を波にさらわれ、悲しみのあまり詠んだ「親知らず」という歌が由来とする説もある。

◉胎内(たいない):森の中を流れる川

 この地には「胎内川」が流れるが、その名の由来は、夏になると川の水が枯れて地下水になって流れる様子が「胎内」を思わせるからという説がある。
 また、アイヌ語の「タイナイ(森の中を流れる川)」が由来とも考えられる。

◉八海山(はっかいさん):数字と信仰に関連する?

 この地にあった8つの池や、頂上が険峻な8峰に分かれ連なる山容に由来する地名。また、「海」に関しては、この地が古来より霊場だったことから、「信仰を開く」といった意味合いの「開(かい)」が変化したと推察される。

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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