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地元の人と観光客が一緒に楽しめる祭り

いまからでも間に合う! 観光客が参加できるお祭りガイド②

祭りは見るだけでも楽しいが、参加すればさらに魅力が倍増する。観客の立場から一歩踏み出しやすい、”初心者歓迎”の人気どころを紹介。今回取り上げるのは、「担ぎ系」と「引き系」の祭り(雑誌『一個人』2017年8月号より)。

◆魅力は全身を使って祭りを支える満足感や達成感!

 各地に息づく祭りの数々は、その土地の人々の祈りや希望の象徴であることがほとんどだ。神輿などを担いだり、山車を引いたりする“担ぎ系”や”引き系”は、楽しむことが主の踊り系よりも祭りを支えるという要素が強く、こうした祭りの深遠な世界や意義の一端に触れられる好機なのだ。
「担ぎ系や引き系は、体力が必要なものもあるため踊り系より難易度が高そうに思えますが、注意事項を守れば大丈夫。地元の人と力を合わせて祭りを盛り上げる過程は、踊りとは一味違う高揚感が味わえます」と祭り写真家の芳賀日向さん。

 とはいえ高齢者や女性など、条件に適さない人も。そこで芳賀さんはこんな祭りを教えてくれた。
「秋田竿燈まつりは男衆が巨大な竿燈を支える技を競う過酷な祭りですが、小型の竿燈による体験コーナーもあり、これも立派な担ぎ系。ミニチュアとはいえ実際に挑戦してみれば、この祭りの凄さがわかり、観覧が楽しくなります」。 

 一方、えちごせきかわ大したもん蛇まつりは祭りの本番に参画するもので、地元、観光客が渾然一体となった群衆が威勢のよい掛け声とともに巨大な蛇を大勢で支え、村内を練り歩く。まさに興奮のるつぼといった情景だ。芳賀さんは、「ポジションは各自で選べるので、慣れない人は後方の、負担の少ない場所を選びましょう」と語る。 

 うごく七夕まつりは東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市の伝統行事。震災で多くの住民の命が奪われ、存続が危ぶまれたがボランティアの力で復活した。
「祭りは本来楽しむものですが、悲しみや苦難を乗り越えて前進する人たちとともに何かを創る、という行為は、それ以上の貴重な達成感をもたらします」。 

 多様な祭りの数々をお伝えした。だが、まだ重要事項があるという。
「人気の祭りは現地の宿が満室のことも。そんな場合は開催地から30㎞以上離れた街で探すのがお薦めです」。

 “祭りに当日飛び入り参加”は気軽で魅力的なスタイルだが、その下準備だけは入念に行おう!
 

【担ぎ系】

巨大な蛇が村道を行く!
「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」

 

 水害除けの祭りとして1988年に初開催。竹とワラで作られる大蛇は長さ82.8m、重さは2tにもなる。当日は500人以上の参加者がこれを担ぎ、村を3時
間あまり練り歩く。掛け声を張り上げ汗を流し、ゴールの広場に着いた時の感動はひとしおだ。

場所:新潟県関川村
期間:8月27日(日)
参加の状態:大蛇を担ぎ練り歩く
参加の概要とルール:ギネスブックに認定された竹とワラでできた長さ82.8mの大蛇が登場する。大蛇を担ぎながら、約3時間村を練り歩く。
事前申込:村外参加希望者は2週間前までに申し込む。
費用:無料
問い合わせ先:関川村観光協会☎0254-64-1478

 

【引き系】

巨大な綱はギネスにも認定
「那覇大綱挽まつり」

 

 約1万5000人が引き手として参加する那覇の一大イベント。直径1m56㎝、全長200mの女綱と男綱が対決し、 女綱が勝てば豊作、男綱が勝てば豊漁の兆しとなる。参加希望者は当日現地に行き、好きな方の綱の手綱(枝分かれした細い綱)を握って勝負開始の号令を待つ。

場所:沖縄県那覇市那覇
期間:10月8日(日)
参加の状態:引き手として参加
参加の概要とルール:当日、久茂地交差点から東西にのびる大綱の近くでスタンバイ。観客が約30万人集まるので、綱を引くためには早めの陣取りが必要。手袋を持参したほうがいい。
事前申込:必要無し
費用:無料
問い合わせ先:那覇大綱挽観光保存会 ☎098-866-4858

『一個人』2017年8月号より構成〉

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芳賀 日向

はが ひなた

1956年長野県生まれ。日本写真家協会会員。日本・世界の祭り、芸能を48ヵ国にわたり取材。『週刊朝日百科 日本の祭り』シリーズ連載(朝日新聞社)、『日本の祭り』監修(旅行読売出版)ほか。芳賀ライブラリー代表。


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