忘れられない味③どんなセレブでも簡単に食えない野菜料理とは?【ミシュラン完全制覇への道】
タイヤ屋のガイドブックに取りつかれた漢(おとこ)魂の五皿目
現在、三ツ星を獲得した全119軒のうち、98%を制覇しているという、「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者、藤山純二郎氏。だが、しかし、これらは取材ではない。彼自身の「生きがい」、ライフワークのひとつとして、もう28年間も続けている。したがって食事代はすべてポケットマネー。この「偉業」のためにつぎ込んだお金は総額6000万円に渡るという。これまでに彼を惹きつける「ミシュラン」の魅力とは? そして今回、彼の舌をアミューズさせる一皿とは?
■グルメたちを唸らせる絶品の野菜料理とは?
ここまで、藤山が味わった仔羊、牛、魚と、それぞれの三ツ星レストランの最高の料理を紹介してきたが、もし、世界一の野菜料理を食べてみたいという方がいたら、ぜひ、次の料理をぜひ味わってほしい。
それが「ミシェル・ブラス」という店の「野菜のガルグイユ」である。
ただし、最初に断っておくが、この料理はいくらお金持ちでもそう簡単に食べられない。
その理由の第一は、この「ミシェル・ブラス」という三ツ星レストランは、フランスといえども、かなり辺鄙(へんぴ)なところにあるからである。
藤山は二度ほど行っているので、店の場所を紹介できるが、普通の観光客はきっと二の足を踏むと思う。ともあれ、行き方を説明しよう。
最初に行ったのは、いつだったかよく覚えていないが、まだ二ツ星の時で、山本益博氏と吉野建(よしのたてる)(1952~)シェフ夫妻の4人連れだった。吉野シェフは、その後、パリで一ツ星を獲得後、帰国し、東京を中心に大活躍中だ。ただし、この時いっしょだった奥様は、亡くなられている。
さて、行き方だ。
まず、パリ・オルリー空港から国内線で、ロデスというところまで飛ぶ。はじめての時は山本益博氏とふたりだった。
ちなみに、パリでフランス人タクシー運転手に聞いてみたが、
「ロデスって、どこだ?」と逆に聞かれた。つまりそのくらい、フランスでも無名の地なのだ。
実際、飛行機を降りて驚くが、なにしろ、「え、ここもフランス?」と思わず叫んでしまいそうな、超ローカル空港だ。オーベルニュ地方の人口約2万3000人の地方都市。空港にタクシーは並んでいない。わずかに、呼出タクシーの掲示はあった。幸い、レンタカーの窓口はあったのだが、オートマ車はなかった。
そして、パリから車でフランス各地の食べ歩き旅行をしていた吉野シェフ夫妻と、ロデス空港で待ち合わせて、吉野夫妻のレンタカーに同乗させてもらい、ロデス空港から、60キロ走って、僕たちはようやく店にたどり着いたのだ。もちろん、パリから夕食の日帰りはできない。昼食の日帰りで最初は訪れたのだ。

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星の意味するところとは、以下の通り(ミシュランガイドのホームページより引用) 三つ星・・・そのために旅行する価値のある卓越した料理 二つ星・・・遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理 一つ星・・・そのカテゴリーで特においしい料理 ビブグルマン・・・コストパフォーマンスの高い飲食店・レストラン。丁寧に作られた良質な料理が手頃な価格で食べられる お勧めのお店・・・星、ビブグルマンはつかないけれども調査員お勧めの飲食店・レストラン