清宮ロス?いやいや逸材揃いの今大会。プロが注目する選手と大阪桐蔭に残された歴史的偉業の可能性 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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清宮ロス?いやいや逸材揃いの今大会。プロが注目する選手と大阪桐蔭に残された歴史的偉業の可能性

夏の甲子園、展望と見どころとは

ミレニアム世代に注目

 ここまではいずれも右打者。高校野球では近年、強豪ほど左の好投手をそろえる傾向にあり、右のスラッガー台頭は、それに対応するためだろうが、むろん左にも好打者は多い。

ミレニアム世代の筆頭、藤原恭大選手

 筆頭は、センバツの決勝で史上初の2ホーマーを放った藤原恭大(※)(大阪桐蔭)だ。夏の大阪大会でも打率.455、3ホーマー、しかも50メートル5秒7の俊足で6盗塁と暴れまくった。この藤原は2年生。2000年度生まれのいわゆる"ミレニアム世代"で、同じ大阪桐蔭には根尾昂、山田健太、150キロも夢じゃない右腕・柿木蓮らがいる。
 桐蔭と並ぶ東の横綱・横浜にもミレニアム世代は多い。長南有航、万波中正らで、長南は強豪のトップバッターとして神奈川大会で打率4割を残した。日本文理の145キロ右腕・鈴木裕太もこの世代だ。ほかに野村佑希(花咲徳栄)、林晃汰(智弁和歌山)らがいて、彼らが3年生で迎える来年の100回大会が楽しみ……というのは気が早いか。

 チームとして大注目は、なんといっても大阪桐蔭だ。史上初めての、2度目の春夏連覇という大偉業がなるか。春夏連覇は過去に7校で、この大会はそのうち作新学院、中京大中京、横浜、興南、大阪桐蔭が出場する豪華版だが、実は過去、春夏連覇のあとにセンバツを制覇した、つまり2度目の春夏連覇への挑戦権を得たのは、06年の横浜だけだ。
 その年の横浜は夏も出場したが、初戦で中田翔(現日本ハム)のいた大阪桐蔭に敗れている。その大阪桐蔭が、2度目の春夏連覇に挑戦するのはなかなかドラマ性ありだ。 しかも大阪桐蔭は、8回出場で4回優勝と夏にめっぽう強い。通算29勝4敗は勝率.879で、2回目の優勝だった08年以降に限ればなんと19勝1敗。出場4回で3回優勝しているのだ。
 偉業達成の確率は、十分にある。大阪桐蔭の登場は、豪華カード目白押しの大会4日目。ファンにとっては、盆と正月がいっぺんにきたような1日になるかも……。 (文中(※)はU18ワールドカップ代表の1次候補)
【北海、作新学院、日本文理……強さの秘密が隠された「ノート」】

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楊 順行

よう のぶゆき

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は52回目を数え、観戦は2000試合を越えた。。春夏通じて43季連続“出場”中。著書に『スコアブックは知っている』(KKベストセラーズ)『甲子園の魔物』(ベースボールマガジン社)などがある。


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