『うつヌケ』作者の真骨頂は“下ネタ”にあり。こだわり続けた理由とは? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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『うつヌケ』作者の真骨頂は“下ネタ”にあり。こだわり続けた理由とは?

Q5.漫画家として、下ネタを書き続けた理由とは?

隅っこならライバルがいないから長生きできる

――下ネタ作品を上梓するにあたって、何か抵抗というか、評価に対する不安みたいなものはなかったのでしょうか?

 元々、手塚パロディを手掛けた段階で当然、センターではなく、隅っこに居場所を作ったという、そんな立ち位置にいましたからね。エロギャグマンガ家はいないし、そこの椅子が空いているから座れるわ、という感覚ですよ。はなからセンターに座る意識はないから、むしろ隅のほうに居場所を確保しておこうと。

 センターって結局、競争率が高いから、そこに10年間君臨する人などめったにいません。でも隅っこならライバルがいないから長生きできます。お笑い芸人もそうでしょうけれども、どセンターにやってきて短命で終わることはあまり良しとしないのですよ。漫画家ってちょっと当たれば年収が億単位というのも可能な世界ですが、1億円が3年で終わるより年収500万円で20~30年食っていったほうが幸せですよ。大型書店に平積みでドーンとなるけれども、3年後に1冊も店頭に出ていないより、ビレバンの片隅に長く置いてあるほうが良いですよ。長く愛されるためには隅っこのほうで、ライバルがいないジャンルのほうで描き続けていたほうが良いにきまっています。

 最近は、オフィシャルなパロディみたいな作品も登場していますよね。『北斗の拳』とか『プレイボール』の続編とか。でも僕にとっては、オフィシャルではなく、常にカウンターのほうが面白い。だって(c)がついちゃうと、キャラクターに「69させてください!」っていわせるわけにはいかないでしょう(笑)。ぜったい、無理ですから。それではつまらないですからね。

【第四回はこちら:「鬱とそうでない状態。明確なラインは存在しない」鬱のトンネルを抜けた漫画家が語る

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田中 圭一

たなか けいいち

1962年5月4日大阪府枚方市生まれ。近畿大学法学部卒業。大学在学中の1983年小池一男劇画村塾(神戸校)に第一期生として入学。翌1984年、『ミスターカワード』(『コミック劇画村塾』掲載)で漫画家デビュー。1986年開始の『ドクター秩父山』(『コミック劇画村塾』連載)がアニメ化されるなどの人気を得る。大学卒業後はおもちゃ会社に就職。パロディを主に題材とした同人誌も創作。2017年1月に刊行した『うつヌケ うつトンネルを抜けたひとたち』(KADOKAWA)がベストセラーに。他にも『イかれポンチ』(ベストセラーズ)など。


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  • 田中 圭一
  • 2017.01.19