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珍名「富士山」さんの由来 8月30日は富士山の頂上に気象観測所を開設した日

珍名さん万歳(42)

■8月30日は富士山測候所記念日

 8月30日は富士山測候所記念日とされている。1895年(明治28年)8月30日に気象学者であった野中至(のなかいたる)が富士山の頂上に気象観測所を開設した。野中測候所と呼ばれ、現在の気象庁富士山測候所の前身である。登山で山頂に行くことは大変であるにもかかわらず、気象観測所を開設した野中至の行動に感心する。今日、私達が天気予報を見ながら仕事やレジャーを楽しめるのは彼のお陰でもあり、野中至は気象予報の基礎を築いてくれた偉大な人物である。

 ところで、「富士山(ふじやま)」「冨士山(ふじやま)」という名字がある。栃木県と兵庫県に存在している。栃木県からは富士山が見えるため、富士見という地名が存在している。この場合、「富士山」という名字は実際に見える富士山に憧れ名字にしたことが考えられる。一方、兵庫県からは富士山は見えない。では、なぜ「富士山」という名字にしたのか疑問である。考えられることは、元々は「藤山(ふじやま)」であった名字が、「富士山」に変わった可能性がある。富士山は古くから山岳信仰が盛んで遠く離れていても富士山の姿を絵で目にすることはあった。そこで憧れの富士山を名字にしたとも考えられる。

 富士山の頂上に物を運ぶことは大変で、特に重い物を運ぶのは至難の業である。そこで、富士山の麓にかつて山頂に物を運ぶ仕事をする強力(ごうりき)と呼ばれる人達がいた。この人達が名乗った名字が「強力(ごうりき)」「剛力(ごうりき)」と考えられる。「強力」という名字は三重県伊勢市に、「剛力」という名字は静岡県三島市に存在している。

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高信 幸男

たかのぶ ゆきお

名字研究家



1956年、茨城県大子町生まれ。高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。


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