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日本の成長支えた「直系家族」システム。その「殻」は捨てるべからず

Q5:伝統的な直系家族的理念と、教育熱心さが日本の成長を支えたのでしょうか。そして時代の流れもある中で今後日本社会はどのようにあるべきでしょうか?

直系家族の「殻」は捨てるべからず

 ここまで大きく変わったのは、小泉純一郎政権が導入したイングランド、アメリカ型のグローバリズムの影響でしょう。強いヤツはいくら儲けてもいい、弱いヤツは自分の責任で、能力がなく単純労働しかできない人は永遠に時給1000円で終わり。いつでもレイオフできる労働力を確保するためにアメリカ型を導入してしまったのが日本の最大のミスでしょう。おかげで会社における直系家族型の良さが全て失われてしまった。

 かつての日本の会社は会社に忠誠心をもたせるような制度があった。年功序列型の賃金体系然りです。

 先日、ある食品メーカーの社長にインタビューする機会があって、ここは40期以上連続増収というすごい会社なんですが、ここのカリスマ社長が愚直なまでに直系家族システムを貫いた経営をしているんです。社員を幸福にすることが会社の理念だから、給料も上げるし、解雇もしない。

 家族にも組織にも、日本に向いていたから直系家族は浸透したわけだから、その「殻」は捨てちゃいけないということですよ。

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鹿島 茂

かしま しげる

鹿島 茂(かしま•しげる)



1949年生。仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMAimagesSTUDIO」を開設。新刊に『神田神保町書肆街考』(筑摩書房)、『太陽王ルイ14世ヴェルサイユの発明者』(KADOKAWA)がある。Twitter アカウント:@_kashimashigeru


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