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残業改革は、しなければならない「理由」がある

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第6回

三.雇用・採用への変化

 これまでは、「人が辞めても、新しい人を採用すればいい」と考えることができました。でも、今の時代は違います。

 消費税増税(2014年4月)以降、「辞めても次の人がいる時代」から「辞めたら次の人がいない時代」に変わりました。

 募集しても人が集まらない。すると、残ったパートの負担が増えます。そして、疲れ果てたパートがまた辞めていきます。だから残業時間を減らして、負担を軽くする必要があります。

◆ダブルキャストで臨機応変に対応する

 武蔵野は、頻繁に人事異動を行います。
 5年以上、同じ部署で働くことはありません。営業系の若手社員は、ひとつの職場での在籍期間を3年、事務系は5年として他の部署に転属させ、多くの体験を積ませます。
 同じ部署に3年以上在籍する課長もいません。

 パートも、「同じ仕事をずっとしている人」と「いくつもの仕事を経験している人」では、後者の時給をアップさせます。

 人事異動を行うと、ダブルキャストが実現します。ダブルキャストで、同じ役をこなせる人を2人用意しておく。わかりやすくいえば「代役」です。

 代役がいれば、パートが急病で休んでも作業が止まることはありません。滞っている作業に応援を出すこともでき、時間短縮も可能です(現在、トリプルキャスト化が実現している部署もあります)。

 また、「この件は○○さんに聞かないとわからない」「あの仕事は△△さんでないとできない」といったように、「人に仕事がつく」ことがなくなるため、不正を防ぐ効果もあります。

<『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』より構成>

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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  • 2017.06.09