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手越祐也に広瀬香美、宮迫、木下、中田。都落ち感漂う芸能人のYouTuber化を考える

しくじり芸能人「俺みたいになるな!! もしもなったらYouTubeへ行け!」

■ぶっちゃけトークも多少の間違いも、YouTubeだからいいじゃない!

 しかし、辺境にはそこならではの価値もある。それゆえ、新しいことにも挑戦できるし、これまでになかった面白さも生まれるからだ。ただ、リスクもともなうため、分別のある大人は自分の子供がYouTuberになりたいなどと言い出したらいやな顔をする。一方、子供たちはそのリスクもそれなりにわかったうえで憧れるわけだ。その成功モデルはあくまで、Hikakinのような専業YouTuberである。

 そう、YouTubeはそんな未来ある勇敢な若者にこそ似合う場所。本業でしくじったり、行き詰まった芸能人がいい歳して、参入する場所ではないのだ。
 そういう人が参入しているのを見ると、いまどきの遊びに興じている若者グループにオジサンオバサンがまじっちゃっているようで、つらい。なんというか、昔のラジオのDJの感覚でクラブDJをやっちゃっているようなズレを感じるのである。
 しかも、下手をしたら自分のほうがいけているはずと勘違いしてるケースすらある。キャラクターがYouTuber向きだと一部で言われている手越祐也(元NEWS)などもちょっと心配だ。
 動画ではファンの質問に答えるかたちで「(パンツの色は)迷彩」「(初体験は)シックスティーン」などとぶっちゃけまくり。以前、犯罪者との写真がネットに流出した件についてもこう、ネタにしてみせた。
「金塊強盗犯と仮に写真撮ったとして、その人が5~6年後に金盗みましたって。写真撮った俺、何も悪くないぜ? そのとき芸能界はもういいやって思った」

 彼にしてみれば、なんでもありのYouTubeで自分のキャラを存分に活かしているつもりだろう。ただ、芸歴18年の32歳は、もうここではいい歳だ。芸能界を追われたオジサンがイキっているような印象しか、そこにはない。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の辺境ロケでは笑いがとれたが、YouTubeという辺境では悪目立ちするだけである。

 どうせ勘違いするなら、オリラジの中田のように、上から目線で行くのも一興かもしれない。昨年のインタビューでは、
「芸能事務所というのは、テレビに勢いがあって、音楽のCDがものすごく売れた時代に機能していた箱だ」「芸能事務所だって舵取りを変えなければならなくなる」(東洋経済オンライン)
 と語り、自ら旧来のシステムを見限ったようにアピール。たしかに「中田敦彦のYouTube大学」での歴史解説などで実績を作り、芸能人ユーチューバーのトップに立った。が、その内容をめぐっては間違いの多さを指摘する声もある。たとえば「『責任持った発信が大事』と話す中田敦彦がYouTubeでフェイクを流す問題点」(Yahoo!ニュース個人・石動竜仁)といった記事だ。

 はたして、中田は先見の明があったのか、のちに無謀な冒険と笑われることになるのか。彼に限らず、芸能人YouTuberたちの「武勇伝」のその後が楽しみである。

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『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)
宝泉 薫

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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